準備
「センス曹長、昼食貰ってきましたから、休憩しましょうよ」
と、バスケットを片手に戻ってきたローレライが、センスに話しかける。
「お、了解だ。飯にしよう」
と、センスはローレライに顔を向けて、笑顔を作って言った。
「ローレライ、昼食は何?」
と、アレンがローレライに話しかけると、
「オークのスネ肉の炒め物と、パンだよ」
と、ローレライが答える。
オークは魔物だが、味は豚肉によく似ていて、とても美味しいので、よく食べられる食材である。
「オークのスネ肉って、あの硬いやつ?」
と、アレンが少し嫌そうな顔をしたのだが、
「硬いけど、その分腹持ちが良いからな」
と言ったセンスは、スネ肉が嫌いではないようだ。
「ちゃんと出してくれるだけありがたいし、私達にとっては、ちょうど良い硬さよ?」
と、ヒョウの獣人であるローレライが言う。
獣人は、顎の力が人族よりも強いため、種族によっては骨も食べたりするのだ。
「なるほど。獣人達にはちょうど良いのな」
と、アレンが頷き、
「確かに、人種によって好みは変わるもんな」
と言いながら、センスがローレライからパンと、スネ肉の炒め物が入った木皿を受け取る。
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センス達が昼食を食べている頃、国軍の宿舎では騎士達を集めて、エイブラム中佐が会議をしていた。
「よし、荷物を運ぶ道も出来たし、呼んで来た職人も柵の作業を開始している。人夫の調達と、街で作っている柵をこちらに運ばなくではならんな。ヴェガ騎士軍には、輸送隊の準備をしてもらうぞ」
と、エイブラム中佐が、ヴェガ騎士を見て言うと、
「は!」
と、ヴェガ騎士が了承する。
「エイブラム中佐、夜のうちから砦建設に、着工出来ませんかね?」
と言ったのはジュンス騎士。
「無理だ。あの草原の夜は、ブラウンウルフが群れで狩りをするのを知っているだろう? とても作業員を守りきれん」
と、ジュンス騎士の提案を却下した、エイブラム中佐。
「森のほうは、昼間と同じゴブリンやツリーバイパーくらいだから、作業員を夜のうちに移動させては?」
とアウス騎士が提案すると、
「それなら、夜明け前に森を抜けて早朝から草原を掘れるな! 兵士達に護衛させながら、移動させることにしよう」
と、エイブラム中佐が決めた。
次の日、ヴェガ騎士軍の馬車は街に向かい、エイブラム中佐が手配していた、多くの馬車を引き連れ、募集していた土木作業員と、木工職人が作った柵を載せ、戦場に戻ってくる。
その日のうちに、騎士軍に守られるように森を抜けて、草原の前にきた作業員達の数は、約500人であった。




