会議後
「柵の高さだが、人族が飛び越えられないくらいと考えているが、どうだ?」
と、エイブラム中佐が口を開くと、
「ですね。それで良いかと」
と、ヴェガ騎士が言い、
「はい、問題無いと思います」
と、センスも頷く。
「となると1メートルくらいか?」
エイブラム中佐が、柵の高さの事を口にすると、
「それですが、敵側に少し傾けて、先を尖らせておくのはどうでしょう?」
と、ヴェガ騎士が言うと、
「ふむ、それならば確かに敵が侵入しにくいが、その分低くなってしまうぞ?」
と、エイブラム中佐に指摘される。
「あ、確かに」
と、ヴェガ騎士が指摘を受け入れる。
「堀で掘った土を盛って、その上に柵を付けるのでしょう? 多少低くても問題ないかと」
と、センスがヴェガ騎士の意見に、助け舟を出すと、
「おお! それもそうか。それでいこう!」
と、エイブラム中佐が受け入れた。
「足場が高い方が、弓も有利ですからね」
と、センスが足場が高い事の有利さを言う。
「堀を、どの程度の深さまで、どう掘るかだが?」
と、エイブラム中佐の問いかけに、
「近くに川は無いですもんね」
と、センスが悩む。
「うむ、川が有れば水をひいてこれるが、無いから空堀になってしまう」
空堀と水堀では対応が変わってくるので、エイブラム中佐は悩んでいるようだ。
「騎兵が突っ込んで来れなければ良いのですから、深さより幅を広げては? 狭くて馬に飛び越えられては効果が半減してしまいますし……」
と、ヴェガ騎士が語尾を詰まらせる。
「馬で体当たりされて、柵を壊されてはたまらんからな」
と、エイブラム中佐が腕を組む。
「鎧を着込んだ兵士を乗せていては、飛べる距離もしれているのでは?」
と、センスが言うと、
「では3メートルの幅で、深さは1メートルとしますか?」
ヴェガ騎士が数字を出して確認する。
「うむ、それくらいで良かろう」
と、エイブラム中佐が承認する。
「では、そのように進めててまいります」
と、ヴェガ騎士が言った。
「他に何かございますか?」
と、センスがエイブラム中佐に問いかけると、
「柵の職人や人夫の方は私が手配しておくから、センスはヴェガと森の方を頼む」
と、センスとヴェガを見て言った。
「了解であります」
と、センスが言うと、
「それと作戦とは関係ないが、センス曹長。ヴェガから北のクローム騎士軍に居たことを聞いたが、そこでの階級や役割は?」
と、センスに尋ねるエイブラム中佐。
「クローム騎士軍は守りを得意とする、弓兵の多い騎士軍でした。私は数人の部下を率いて、手薄になった箇所に応援にいく部隊を率いておりました。階級は特務曹長という変な階級でしたが」
と、聞かれた事に素直に答えてしまうセンス。
「特務曹長?」
と、疑問の声を上げたエイブラム中佐。
「曹長となれば、数十人を率いるはずですが、私はまだ若すぎると言う事で、部下の数は少ないが曹長待遇という事でした」
と、その状況を説明したセンス。
「特務というのは?」
「特別な任務、まあ、移動しながらの弓矢攻撃で味方を助ける事ですが、その特別な任務を縮めて、特務としていました」
「なるほどな。わかった。センス曹長、貴様の働きに期待しておる。上手くいけばロローシュ少将から、私やヴェガだけでなく、貴様にも良い褒美が出るだろうから、しっかり働け!」
「はい! 中佐とヴェガ様のために、精一杯働かせて貰います」
「うむ! 期待しておるぞ!」
と、エイブラム中佐が言い、
「ハッ!」
と、センスが敬礼して応えた。
エイブラム中佐が、出かけると言うので、会議は終了し、二人は自軍に戻る途中、
「センス曹長、中佐の期待に応えようぞ」
と、ヴェガ騎士もセンスに言い、
「はい、ヴェガ様。頑張ります」
と、ヴェガ騎士にも敬礼した。
「それと、作戦参謀で曹長という事にしたから、先日付けた臨時部下を、正式につけてやる。まあ、古参の兵は、新人のお前に付くのに抵抗があるかもしれんから、同期の2人なら上手くいくだろう。伝令や護衛、その他にも使えるだろう。しっかり使いこなせ」
と、ヴェガ騎士がセンスに言うと、
「了解であります。ありがとうございます」
と、センスが礼を言う。
「とりあえずは、森の中の道と伐採と防衛だが、防衛は息子のデニスに任せておけば問題無いから、私とセンス曹長は道の方だな」
「はい!」
と、元気よく頷いたセンス。




