表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/100

騎士達


 その日の夕方、前線に戻ったエイブラム中佐。


「エイブラム中佐! おかえりなさいませ」

 と、中佐の副官が出迎える。


「ああ、ただいま。で、距離は測れたか?」

 と、聞かれて副官は、


「はい。ヴェガ騎士から報告書が届いております」

 と言う。


「どれ? 見せてみろ」

 と言われて、


「は!」

 と言って、一枚の報告書をエイブラム中佐に渡した。


「ふむ、私の予想より少し長いが、こんなもんだろう。一応直接話が聞きたいから、明日の朝一番にヴェガ騎士を呼べ」

 と、エイブラム中佐が命じ、


「承知しました」

 と、副官が頭を下げる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「お呼びにより参じました」

 朝から呼び出されたヴェガ騎士が、エイブラム中佐に敬礼して言った。


「うむ。ロローシュ少将より、作戦の許可が降りた。お主からの報告を読む限り、特に問題は無さそうだが、何か懸念はあるか?」

 と、尋ねられたヴェガ騎士は、


「いえ、現時点では問題は無いように思います。着工する時点で、敵から人夫達をどう守るかを、これから考えねばならないかと思いますが、それ以外は特に」

 と答えた。


「よし。それを検討するのに、後で騎士達を集めて貰うとしてだ、センス曹長だが、ロローシュ少将が興味をお待ちだ。どこ出身か、どんな育ちをしたか分かってることを話してくれ」

 と、ヴェガ騎士に聞くエイブラム中佐に、


「ロローシュ少将が? 私が知ってることは、年は13で、北のノードス伯爵領の、クローム騎士軍に在籍していたことと、そのクローム騎士軍が壊滅したので、東に流れてきたこと。それと弟から聞いた話では、弓の腕がかなりのものというぐらいですが」

 と、知ってる事を言った。


「クローム騎士軍か。ノードス伯爵領の守りの要と言われていた騎士軍だな。わかった。そのまま報告しておく。では、アウス達を集めてきてくれ」

 と、命じられたヴェガ騎士は、


「は! 直ちに!」

 と、敬礼する。


「あと、センス曹長も連れてこい」

 と、追加で言われたヴェガ騎士は、


「了解であります」

 と、応じた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「揃ったな? では作戦会議を始める。皆も知っているとは思うが、森を抜けた草原にて、堀と柵で陣を張り、アストン国の侵入を防ぎつつ、奴らが疲弊するのを待つ事になった。これはロローシュ少将の許可を得た、正式な作戦である。現在、その準備中であるが着工する際に、草原に出た我らを、敵が攻撃してくることも予想される。また、今まで通りに少数で我らを挑発してくる事もあるだろう。それらにどう対応し、準備を悟られぬように進めるかを、議論する。何か意見のある者はいるか?」

 と、騎士たちを前にして、エイブラム中佐が言うと、


「エイブラム中佐! よろしいでしょうか?」

 と、アウス騎士が発言の許可を求める。


「アウスか、なんだ?」

 と、言われて、


「はい。作戦の概要は分かり申したが、守るだけで敵が来なければ、我が騎士軍に従軍し、戦死した者達の仇が取れません。敵を叩き潰したいのですが、ダメでしょうか?」

 と、聞いてきたアウス騎士に、


「撃って出ると、前回の二の舞になってしまうと、前に話していただろう?」

 と、攻撃はダメだと言う、エイブラム中佐。


「ですが、総力戦で挑めば!」

 と、食い下がるアウス騎士に、


「総力戦で突破でもされてみろ。我が国の民が蹂躙されてしまう。特にエルフや獣人達は奴らにとって目の敵にされておる。悔しいだろうが、耐えてくれ」

 と、我慢するように言った。


「エイブラム中佐、よろしいでしょうか?」

 センスが手を上げて、発言の許可を求める。


「ん? センス曹長、どうした?」

 と、センスを見たエイブラム中佐。


「はい、確かに守れば良いと言い出したのは私です。ですが、アウス騎士様の気持ちも理解出来ます。ですので、草原にて簡易砦を作り出せば、アストン国の奴らは、絶対に邪魔しにくると思います。それを叩く役割を、アウス騎士様の軍にして貰う事にして、戦死した兵士の無念を晴らして貰うというのはどうでしょう? アウス騎士様の騎士軍ならば、向かってきた敵を叩くのは、容易いかと。奴らは簡易砦に引きこもっているから手強いだけでしょう? アウス騎士様達には、その時に活躍してもらい、他の騎士軍の方達には、陣張りの手伝いをして貰うことにして、より早く陣を作ってしまいましょう」

 と、提案すると、


「ほう! センスとやら、気が利くな! 我らに無念を晴らす機会を進言してくれるとは」

 と、アウス騎士がセンスを褒める。


「それならば、我がバウ騎士軍も、敵を倒す役割の方に加えてもらいたい。前回100人もやられてしまった雪辱を晴らしたい」

 と、バウ騎士もアウスと同じ役割を求める。


「ふむ、わかった。奴らが出てくるかは分からんが、アウスとバウの騎士軍は戦闘組として、人夫達を守る役目に配置するとしよう」

 と、エイブラム中佐が、二人の騎士に配慮した。


「ありがとうございます」

 と、アウス騎士はエイブラム中佐に、礼を言い、


「センスとやら、よく言ってくれた。これで部下の無念を晴らせる」

 と、バウ騎士がセンスに言う。


「いえ、私も前に居た騎士軍が、壊滅した経験がありますゆえ、お気持ちはよく分かります」

 と、バウ騎士に言うセンス。


「では、草原に物資や人夫をどう送るかだが、これは森の中に馬車が通れる道を、作るしかないだろうと思う。その際、伐採した木々を柵を作る時に利用する」

 と、エイブラム中佐は、考えていた事を話し出すと、


「柵を作る職人を、先にこちらに来させておきますか?」

 と、ジェンス騎士が聞いてくる。


「街でも作って貰うが、数人こちらに連れてきておくのも良いだろう」

 と、答えたエイブラム中佐に、


「ならば、作った柵の輸送などに、馬車が必要ですな。その手配は?」

 と、バウ騎士が言うと、


「それならば、騎士軍の馬車を使えば良いのでは?」

 と、ヴェガ騎士が言う。


「ん? ヴェガ、どういう事だ?」

 と、ジェンス騎士が、ヴェガ騎士に聞くと、


「我らがこちらに滞在している間は、馬車は基本的に空いてるわけですので、荷馬車の代わりにすれば、予算が抑えられます」

 と言ったヴェガ騎士に、


「確かに。だが良いのか? もし何かあって撤退しなければならない事が起きた時、馬車が無い事になるが?」

 と、エイブラム中佐が聞いてくる。


「作戦を言い出したのは、我らの騎士軍です。それくらいのリスクは受けます」

 と、ヴェガ騎士に言われ、


「ふむ、ならばヴェガ騎士軍には、輸送部隊として、半数の兵を割いてもらおう。残りは道作りと、今までと同様に警戒に当たって貰うことにするか。では、今の手筈で皆頼む」

 と、エイブラム中佐が決定を下す。


「「「「「は!」」」」」

 と、その場の者達が敬礼した。


「あ、ヴェガ騎士とセンス曹長、柵の件で相談があるから残れ」

 と言葉を続けたエイブラム中佐に、


「は!」

 と言ったのはヴェガ騎士で、


「はい!」

 と、言ったのはセンス。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 面白いです。 更新楽しみにしてます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ