作戦参謀
「センス上等兵!」
と、センスを呼ぶ声がする。
センスは声の方を見て、
「はい! ヴェガ騎士様」
と、声を上げる。
「ちょっと来い!」
と、呼ばれたからには行かねばならない。
「はっ!」
と、敬礼して応じたセンスは、ヴェガ騎士のところまで早歩きで移動し、
「なんでありましょうか?」
と、尋ねた。
「エイブラム中佐と、作戦を練ることになった。お前が思いついた作戦だから、お前も来い!」
と、ヴェガ騎士に言われたセンスは、
「ええっ? 私ごときがエイブラム中佐と同席しても良いのでしょうか?」
と、新入りなのに良いのかと尋ねる。
「エイブラム中佐の許可は出ているが、上等兵では少し位が低いな。よし、今からお前は私の作戦参謀に任じ、曹長とする! 良いな!」
と、決められ、
「分かりました! センス曹長、ヴェガ騎士様とご一緒します」
と、敬礼して応じた。
「うむ、では行くぞ」
「はい」
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「中佐、戻りました」
と、食堂に入ったヴェガ騎士が、エイブラム中佐に声をかける。
「おお、ヴェガ、その子供が発案者か?」
エイブラム中佐が、センスを見てそう言った。
「はい」
と、頷いたヴェガ騎士に続き、
「ヴェガ騎士軍所属、作戦参謀のセンス曹長であります、エイブラム中佐殿!」
と、敬礼しながらセンスが言った。
「うむ、貴様、よく思いついた! 我らは長くここに居て、アストンの簡易砦を突破することばかり考えておったから、守り切るという発想が抜け落ちておったわ。作戦がうまくいったおりには、褒美を取らす。とりあえず座ってくれ。でだ、実際どのように森の外で陣を敷くかだが……」
と、エイブラム中佐が、椅子をすすめながら言った。
「失礼します」
そう言ってから、センスは椅子に座った。
「それなんですけど、敵にバレないようにしますか? バレても良いなら、堂々と作ればよいわけですけど」
と、ヴェガ騎士がエイブラム中佐に問いかける。
「うーむ、どうせ作るときは森から出るし、何かしてるとバレるだろうが、着工まではバレたくは無いな」
と、エイブラム中佐が言うと、
「発言よろしいでしょうか?」
と、センスが声をかける。
「センス曹長、もちろんだ」
と、エイブラム中佐が、センスを見る。
「では。作る時はバレるのは仕方ないので、その時は街から人夫を募って、一気につくるとして、柵などは着工前にある程度組み立てた状態で、現場に運んで打ち込むだけにしておくのはどうでしょう? 柵の下側を釘のように尖らせておけば、掘った土を盛り上げた上に柵を作る訳でしょうし、ある程度早く打ち付けられるかと。柵も街で木工職人に発注すれば良いわけですし、柵や堀の距離だけ測っておけば、早く仕上がるかと。作っている時は各騎士軍を展開して、人夫達を守れば良いかと思います」
と、思っていた事をそのまま話したセンス。
「なるほど、外注出来るものはそうした方が早いな。という事は、まずはどれくらいの規模にするか、調べねばならんが、どう距離を測る?」
と、エイブラム中佐に尋ねられたセンスは、
「それですが、2本の杭の間に……」
と、説明を始めたセンス。
「ふむ……なるほど!」
と、エイブラム中佐が納得した表情をする。
「これならば、誰でも測れますな!」
と、ヴェガ騎士がウンウンと頷く。
「よし! 私はロローシュ伯爵のところに行ってくる。ヴェガ騎士とセンス曹長は、距離を測っておいてくれ!
と、エイブラム中佐から指示されたので、
「「はっ!」」
と、ヴェガ騎士とセンスは、立ち上がって敬礼する。




