表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【受賞作11/14発売】田舎の中古物件に移住したら、なぜか幼女が住んでいた~ダンジョンと座敷わらし憑きの民泊はいかがですか?~  作者: k-ing☆書籍発売中
第三章 妖怪の世界に行く

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/96

92.ホテルマン、夜が怖い ※一部矢吹視点

「まさかまたここに来るとは……ほら行くぞ!」


 俺はシルとケトの手を引きながら、宿屋に入っていく。

 あまり乗る気はないが、ダンジョンが落ち着くまではしばらくここに泊まるしか選択肢がない。

 もし、泊まらなければ野宿になってしまう。


「ヒヒヒ、また戻ってきたのかい」

「「わっ!?」」


 おばあさんが相変わらずカウンターからひょっこりと顔を出していた。

 背中が曲がっているから、顔だけカウンターに載っているように見えるから、びっくりするのは仕方ない。


「この町の宿屋はここにしかないからのぅ」

「ギルドもいっぱいでした」

「ホホホ、ダンジョンに魔力が集まっているからねぇ」


 どうやらおばあさんもダンジョンが活発化しているのは知っているようだ。

 それにしてもダンジョンの活発化と魔力が集まっているのは関係しているのだろうか。


「しばらくお世話になります」

「あぁ、気長に待っていたらダンジョンも落ち着くさ」


 当面俺たちはここに泊まらないといけないのだろう。

 また、夜中に幽霊が出ないことを願うばかりだ。


「やぶきん、ちょっといい?」

「どうした?」


 部屋についた俺は矢吹にある提案を持ちかけることにした。


「一緒に寝ないか?」

「……はぁん!?」


 やっぱりそういう反応になるのは仕方ない。

 ただ、俺にはそれよりも大事なことがあるからな。


「ふく、おばけが怖いんでしょ?」

「うっ……」


 ケトに言い当てられてしまった。

 正直言うと夜中にまた幽霊が出てくるって思うと怖くて寝られない。

 妖怪と幽霊って少し違う存在だしな。


「誰も怖いって言ってないだろー」


 俺はケトの頬を掴んで伸ばす。

 

「いだだだだ……呪うよ?」


 呪うって口だけの猫又か存在のわからない幽霊を比べたら、確実に後者の方が怖い。


「シルもいっしょにねる!」

「なら私たちも一緒に寝ましょうか!」

「さんせーい!」


 気づいたらみんなが一緒のベッドに寝ると言い出した。


「いや、さすがに無理だろ」

「それならベッドをくっつけたらいいんじゃないか?」


 断ろうとする矢吹にすぐに提案を持ちかける。

 みんなが賛成したから、特に問題はないはずだ。

 あとは矢吹を説得するだけだからな。

 俺は矢吹をチラチラと見つめる。


「はぁー、仕方ないな」


 矢吹は少し呆れていたが、内心は頼られて嬉しいのだろう。

 ベッドを運ぶ時もどこか嬉しそうにしていたからな。

 養護施設にいる時もみんなで一緒に寝ていたからね。


「これなら夜も怖くないね!」

「やっぱり怖かったんだな」

「そそそ、そんなことないからな!」


 俺は恥ずかしくなり、何事もないように部屋を出た。





 外で軽く食事を取ったりしているうちに、気づけば外はすっかり暗くなっていた。


「ふぁー、少し早いけど寝ようかな」


 幸治は宿屋に戻るとすぐにベッドに横になっていた。

 さっきからあくびが止まらないところを見ると、相当昨日は寝られなかったのだろう。


「じゃあ、俺たちも寝るか」


 幸治は幽霊を見たと言っていたが、本当に幽霊が存在しているのだろうか。

 もし存在しているなら、俺は死んだ仲間たちにまた会いたい。

 せっかくだから今の生活をあいつらに自慢したいからな。


「本当に気持ち良さそうに寝ているな」


 俺は幸治の寝顔を見て一安心した。

 この世界に来て二日目だが、いくつかの疑問が出てきた。

 まずはここが本当に妖怪の世界かどうかだ。

 幸治は妖怪の世界だと言っているが、それも怪しく感じる。

 妖怪ばかりだと思ったら、普通の人間が存在していた。

 ポチは狼男だと幸治は言っていたが、それは納得できる。

 ただ、ソウに限っては普通の人間にしか見えない。

 魔力を感じるから探索者と言われたら、それで納得する。

 それは町の人達も同様だ。

 まだ妖怪の世界よりも、パラレルワールドって言われた方が納得できるからな。


「俺は幸治を信じるしかできないからな」


 ただ、俺にはこの世界の人たちの言葉がわからなかった。

 まるで妖怪の世界というよりは、外国に来たような気分だ。

 幸治が妖怪と言えば、妖怪なんだろう。


――ミシ……ミシッ……


 遠くから何かが近づいてくる音が聞こえてきた。

 俺はアイテムボックスから剣を取り出して、見えないように布団の中に隠す。


――ミシ……ギィー


 ゆっくり扉が開く音が聞こえてくる。

 ここまで近づいたら意地でも正体を見てやろう。

 それがわかれば幸治がビビることはなくなるからな。


「ヒヒヒ、そんな物を抱えたら危ないぞ」


 突然、耳元から声が聞こえて背筋がゾクッとした。

 さっきまで入口のところにいたはずだ。

 本当に幽霊が存在するとは思わなかった。


「うっ……」


 それに剣を出したのに、金縛りに遭っているから身動きも取れない。

 それでもまぶただけは動くようだ。

 せめてその正体だけでも暴こうと目をゆっくりと開ける。


「ヒヒヒ、早く寝ないと夜は長いぞ」

「うわああああああ!」


 下から覗きこんだ顔は息もなく、痛みや恨みを抱えた幽霊が何かを伝えようとじっと見つめているようで、俺の意識はそこで刈り取られた。

お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。

よろしくお願いします(*´꒳`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
\11月14日第1巻発売/

第8回アーススターノベル大賞 受賞作

民泊①

キッチンカーと巡る異世界グルメ ~社畜と無愛想貴族、今日も気ままに屋台旅~
ここをタップ!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ