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【受賞作11/14発売】田舎の中古物件に移住したら、なぜか幼女が住んでいた~ダンジョンと座敷わらし憑きの民泊はいかがですか?~  作者: k-ing☆書籍発売中
第三章 妖怪の世界に行く

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91.ホテルマン、宿屋の事情をきく

「住宅街にないってことはどこにあるんだ?」


 宿屋を探すために住宅街を回っていたが、見つけたのは野良猫たちだけだ。


「ほら、ケトいくぞー」

「にゃ……もう猫なんて嫌いだ!」


 振られまくったケトは俺の手を握ってトボトボと歩いていく。

 出会った野良猫全てにナンパしていたら、さすがに同郷の猫でも嫌だろう。

 俺たちが住んでいる地域では、そもそも野良猫をあまり見ないから、今がチャンスだと思ったのだろう。

 恋多き猫又は大変だな。


「やっぱりソウたちに聞くか?」

「いや、その前に冒険者ギルドに行くのもいいかもしれないな」

「冒険者ギルド?」


 冒険者ギルドって身元保証のために登録した探索者ギルドのようなところだっけ。

 俺に戦う力が一切ないのに、なぜか登録できた珍しいところだ。


「ああ。探索者ギルドでもギルド会員なら、素泊まりできるところがあったりするからさ」

「あー、それなら冒険者ギルドにも素泊まりできるところがあるかもしれないのか」


 行き先が決まれば、俺たちはすぐに中央にある冒険者ギルドに向かって歩いた。



 冒険者ギルドの中に入ると、ギルド内はどこか静かな雰囲気に包まれていた。

 何かの報告をしているのか、知った声が聞こえてくる。


「以上、獣の闇庭についての情報です」

「そうですか……しばらくは気をつけないといけないですね」


 中央でギルドの職員とソウが話していた。

 ちょうどソウもいるなら、聞きやすいと思い近づくと、俺たちに気づいたのかポチがジーッと俺を見つめていた。


「ポチ、撫でてほしいの?」

「なっ!? そんなわけないだろ!」


 ポチはそっぽ向いていたが、尻尾は上を向いて小さく振っていた。

 相変わらず体は正直ものだね。


「コウさん、こんにちは!」

「あっ、こんにちは!」


 ギルドの職員も気づいたのか挨拶してくれた。

 せっかくなら今素泊まりか宿屋について聞いた方がいいだろう。


「あのー、この町に宿屋ってありますか?」

「宿屋ですか……?」


 俺の言葉にギルド職員はソウと顔を見合わせていた。

 何か問題があるのだろうか。


「一件だけ宿屋はありますが、ここは辺境地なので中々泊まる人もいないですね……」

「基本的にギルドで素泊まりしている人が多いけど、コウたちは昨日どこに泊まったんだ?」


 どうやらこの町にある宿屋は俺たちが泊まったあのおばあさんがやっているところだけのようだ。

 ただ、冒険者ギルドで素泊まりができることを聞けただけ良かった。


「おばあさんがやっている少し不気味な――」

「あそこに泊まったのか!?」


 ソウは目を見開いて聞いてきた。

 俺はこくりと頷くと、驚いてその場で固まっていた。

 やはり不気味な幽霊が出ると有名なんだろうか。


「何かあるんですか?」

「いえ、あそこのおばあさんは魔力が高い人なので、中々近寄りがたいんです」

「コウは何も気にならなかったのか……?」


 ギルドの職員やソウが言うには、おばあさんの魔力が高すぎることで、それが影響してゆっくりできない宿屋って有名らしい。

 そもそも辺境地だから町に来る人もいないし、町に来ても冒険者や小人ならギルドに泊まるらしい。

 俺たちみたいに宿屋に泊まりたい人の方が珍しい。

 あのおばあさんが、そんな中でも宿屋を経営しているのには何か理由があるのだろうか。


「じゃあ、冒険者ギルドに泊まることはできますか?」

「あっ……いや……それは……」


 ギルド職員の歯切れの悪い様子に俺は問い詰める。


「まさか空いてないとか……」

「すみません!」


 ギルド職員は立ち上がると、大きく頭を下げた。

 冒険者たちの視線が一気に俺たちに集まってくる。


「いえいえ、こちらこそすみません」

「今、獣の闇庭が活発的になっているので、元からいた冒険者には町にいてもらうように言っているんです」


 どうやら俺たちが来たダンジョンが関係しているようだ。

 泊まれないなら仕方ないもんね。


「やっぱりあそこの宿に泊まる――」

「それならうちに泊まったらいいんじゃないか? 母ちゃんなら喜びそうだぞ?」


 思いがけず、ポチに家へ誘われた。

 やけに静かだと思ったら、シルたちと遊んでいたようだ。


「んー、さすがに喜びそうだけど、張り切ると体が疲れちゃうからな……」

「あっ……そうか。病気だったのを忘れていた」


 どうやらソウとポチの母親は病気を患っているらしい。

 それなら尚更お邪魔しない方が良いだろう。

 またどこかでお見舞いだけでもいけたらいいな。

 なんせ……妖怪の世界でうどんを作っていた人だからね。


「いえ、俺たちはしばらくあの宿屋に泊まります」


 俺の言葉にソウたちは申し訳なさそうな顔をしていた。

 俺としては夜に幽霊が出なければ、あの宿屋でも文句はないからな。

 魔力に関しては俺には感知できないし、直接接しなければシルたちや矢吹も問題はなかった。


「じゃあ、俺たちは先に休みますね! 色々教えてもらいありがとうございます!」


 俺はお礼を伝えると、あのおばあさんがいる宿屋に戻ることにした。

お読み頂き、ありがとうございます。

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