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【受賞作11/14発売】田舎の中古物件に移住したら、なぜか幼女が住んでいた~ダンジョンと座敷わらし憑きの民泊はいかがですか?~  作者: k-ing☆書籍発売中
第二章 地下の畑はダンジョンです

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59.ホテルマン、掃除をする

「牛島さん、よろしくお願いします」


「ああ、みんなの面倒は見ているから心配はいらないぞ」


 今日はベランダの窓枠を外して、修理しに行く予定だ。


 真心便利屋に電話をしたら、そのまま持ってきたら新しいガラスに取り替えてくれるって言っていたからな。


 みんなも一緒に連れて行こうかと思ったが、さすがに車に乗せられないため、俺と矢吹で街に向かうことにした。


 その間のお留守番に妖怪達だけでは不安になった俺は、我らの救世主である牛島さんを呼んだ。


「うっしー、はやくはやく!」


「私も一緒に作りたいです!」


 快く受け入れてくれた牛島さんには感謝だが、妖怪達の態度を見ていると少し悲しくなる。


 時間がかかるのを見越して、牛島さんはあるものを持ってきた。


「竹とんぼって懐かしいよな」


「俺らも施設にいた時に作ったことあるもんな」


「そんなにメジャーなものなんですね」


 牛島さんは竹とんぼを作るために、山から竹を切って持ってきた。


 何を作るのか知らない妖怪達はワクワクしていた。


 そのうちシルのポケットから竹とんぼが出てくるのか……。


 それこそあのロボットが頭をチラつく。


「では行ってきますね」 


「オイラは付いていくよ?」


 コソコソと話していたケトだが、今回は付いていくことになった。


 そんなケトは一応牛島さんの前では変わったネコの振りをしている。


 ネコは竹とんぼを一緒に作ることができないからな。


 窓枠を車に乗せると車に乗り込む。


「誰か見送ってくれると思ったのにな……」


 シル達は竹とんぼを作るのに一生懸命なのか、家から顔を出すこともなかった。


 やっぱり俺は牛島さんには勝てないようだ。



「はぁー、どうせ俺は相手にしてもらえない飼い主だよな」


「妖怪ってそもそも飼うものでもないけどな。なあなあ、お前の飼い主っていつからあんな面倒な男になったんだ?」


「オイラに言われても知らないよ。治し方はわからないもん」


 矢吹とケトがこそこそと何かを言っているが、俺はそのまま車を走らせる。


 真心便利屋はよく行くショッピングモールの近くにあった。


 きっと作業が終わって、帰る頃には夜になっている。


 このまま俺達が帰ってこなくても、シル達は牛島さんがいれば問題ないだろう。


 どうせ、俺なんていらないさ。


「もういっそのこと牛島さんのところに住めば――」


「おい、危ないぞ!」


「へっ……?」


 俺は矢吹の声に反応してすぐにブレーキを踏む。


 急に車が止まったことで、後部座席にいたケトが助手席まで飛んできた。


「死ぬ気にゃにょか!」


 ケトは怒って俺をバシバシと叩く。


 俺はすぐにバックに切り替えて、車を後ろに下げて息を整える。


「運転中ぼーっとしてバカか! もう少し遅かったら死んでいたかもしれないぞ!」


「ごめん」


 久しぶりに矢吹に怒られた。


 俺はぼーっとしていた影響か、途中でガードレールがなくなったところに車で突っ込もうとしていた。


 さっきまで普通に車で走っていたはずだったのに……。


「疲れているなら俺が運転を代わるぞ」


 運転は矢吹が代わってくれることになった。


 俺は扉を開けて外に出ると、あるものが目に入った。


「ここに鳥居があるのか……」


 そこには街から帰ってくる時に稀に見かける鳥居があった。


 いつもは見つけにくいのに、やけに今日は大きく感じる。


 それになぜか背筋がゾクッとした。


 だが、矢吹達は特に気にしていないのか、そのまま運転席に乗り込んでいく。


「おい、鳥居がここにあるの知ってたか?」


「鳥居? そんなものなかった……あれ?」

「さっきまでなかったよ?」


 矢吹とケトも鳥居の存在には気づいていなかったようだ。


 不意に冷たい風がどこからともなく吹き込んできた。


 真夏なのに不自然に冷たい風は、何か不吉なものが近づいてきているような錯覚を覚えさせるように体に張り付く。


 どこか不思議な空気感に俺は周囲を見渡す。


「ごめん、少し待ってて」


 俺は車から汗を拭くために持ってきていたタオルとペットボトルを持って走る。


「おい、どこにいくんだ!?」


「お地蔵さんがある!」


 こういう時って本当に不吉なことばかり続くからな。


 汚れていたお地蔵さんが目に入った俺は、ペットボトルの水をかけてタオルで擦る。


 以前働いていたホテルでは、あまりの忙しさに裏にあるお地蔵さんを放置していた。


 その時に限ってお客さんのクレームは増えたが、掃除をしたらバタッとなくなった。


 しばらくあったのは支配人と従業員の卑猥な声のクレームだけだったからな。


 関係ないのかもしれないが、やらないよりは掃除をした方が良いだろう。


 思ったよりも汚れていたのか、タオルはすぐに真っ黒になっていた。


 どこか汚れが落ちたお地蔵さんは笑っているように感じる。


 ひょっとしたら俺を呼んでいたのだろうか。

 

 ついでに飴をお供えして俺は車に戻った。

「⭐︎評価、ブクマをしない人達は――」

「「呪うよ?」」

 シルとケトはニヤリと笑ってこっちを見ていた。


| |д・)ωΦ^ ) ジィー

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\11月14日第1巻発売/

第8回アーススターノベル大賞 受賞作

民泊①

キッチンカーと巡る異世界グルメ ~社畜と無愛想貴族、今日も気ままに屋台旅~
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― 新着の感想 ―
[一言] 割れて廃棄されてたホテル裏のお地蔵さん元気(?)かな…
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