戴冠式の日程
「王都でも知り合いがあまりいないからな……」
フェリック王太子の戴冠式の日程について、何かあって遅くなったのか確認しようにも、親しい人は限られるジェロ。
親しくない官僚に確認しても裏事情を教えて貰えると思えない。
「で、俺のところか?」
「はい、まずは冒険者ギルドのザールさんならば情報通かと」
「まぁ、冒険者ギルドのことを忘れていないようで安心だが。俺もそこまでの情報はない。特に何か揉め事があったという話も伝わって来ていない」
王都にある冒険者ギルド本部の幹部であるザール・タンプ。元はモージャンの街のギルドマスターであり、その頃はガニーのギルドマスターであったアンブリスが嫌いで、ジェロ達にも冷たかったが、今は角が取れて相談しやすい相手になっている。
「このルグミーヌ王国土産のお礼くらいには、情報を調べておくけれど、期待しないように、な。おそらく何もなかったという結果になると思うぞ」
「ありがとうございます。それでも結構ですので」
「これはテルガニ侯爵。もうルグミーヌ王国からお戻りに?」
次に尋ねたのは王国魔術師団。そこの団長のジルベール・ラロシェル侯爵である。
「はい。目的の用事も無事に終わりましたので」
彼にもルグミーヌ王国土産を渡して、戴冠式の日程について話を聞く。
「これは結構なものを。彼の国の、おそらくエルフ村の物産ですな。魔力の込められた木の実のお菓子、この王都では貴重でして。誠にありがとうございます」
ラロシェルの好物であったのか、それともいつもの丁寧な対応の延長か。
「それで、戴冠式の日程について、ですか?特に何か問題があって延期してはいないですよ」
「そうですか……」
「先ほど私も驚きましたが、テルガニ侯爵の移動速度が想定外だっただけかと」
「!」




