ガニー冒険者ギルドマスター2
「何だって職場を離れて訓練しているんだ?事務職員じゃないのか?」
「いや彼は前マスターに許可されているんです」
新しいマスターのドナシアンにジェロが指摘をされたところにメオンがフォローしてくれる。
「なんだそれは。中途半端は皆に迷惑だろう?ん、立派な刀を差しているじゃないか。俺が訓練をつけてやろう」
「いえ、大丈夫です……」
「何を言っている。業務命令だ、来い!」
近接攻撃の訓練場にドナシアンに無理矢理連れられて、叩きのめされるジェロ。少々練習したところでまだまだのジェロが肉体派のBランクに敵うはずがない。
「全くダメだな。何でこんな奴が訓練するんだ?」
「ジェロは魔法使いですよ」
訓練場にいたバスチャンがフォローしてくれる。
「何?魔法使いがこんな体格しているのか。それに刀なんて差して」
仕方ないので弓矢や攻撃魔法の訓練場で≪火槍≫を発動してその威力を見せつける。
「なるほど。ならば魔法の教官になれ」
「いえ、それは……」
「なんだ?じゃあ、訓練場は使わずに事務職員だけしておけ」
「図書室の利用は?……」
「はぁ?そんなのもあったのか。教官でもない事務職員には不要なことだ、却下する」
どうも何かが気に食わない相手と目についてしまったのか、ジェロは事あるごとに新マスターに指摘をされるようになってしまった。ジェロの性格では逆らうこともできず、見るからに元気が無くなっていく。
『ジェロ、もうダメだよ。コイツ、やってしまってもいい?』
『ヴァル、ダメに決まっているだろう……』
『じゃあ魔法の教官になってしまうのは?』
『見慣れない相手に指導なんてできないし、きっと今さら言ったら余計に怒らすよ……』




