エルフ村へ
エルフの領域への境界を越えるのだと言われるまま行列に並んだジェロ達。
前を進む騎士団員が馬を降りたまま馬の手綱を持って進んでいると、急にある場所を越えた途端にその姿が見えなくなる。
その次に続く人たちも同様であり、いよいよ自分たちの番になる。
魔法に詳しい上級の悪魔であるヴァルの方をつい見てしまうが、にこやかに笑って返されるだけである。特に問題はないということは分かる。
「ジェロ様……」
御者台に乗ったままのアルマティ以外では、ヴァルだけが怯えていない。モーネとリスチーヌはそれなりに不安がっているようなので、ジェロがそれぞれの手を繋いで一緒に進む。
「え?」
その境界を越えるときに特に抵抗感はなく普通に歩いていただけのつもりである。しかし、境界を越えると普通に先に進んだ者達がそのまま歩いている。振り返ると、アルマティの乗った馬車などが見えなくなっている。
視界を遮断する壁が存在していた感じである。
ヴァルの顔を改めて見ると、笑って頷かれたので、思考も読まれたのだと思う。
『視界を遮断する壁というだけ?何も問題なかったのだよね』
『そうね。まぁ、手を繋いであげるなんてやるじゃない』
『あ!』
その境界を越えても手を離すことを忘れていたので、モーネ達2人が少し顔を赤くして俯いているのが見える。
「あ、ごめん」
「いえ、ありがとうございました」
少し道から離れて立っていると、順番に騎士や馬車が通り抜けてくる。アルマティが御者台に乗ったまま通って来て、周りをきょろきょろ見渡しているのを見て、彼女も驚いていることに安心する。そして声をかけて馬車に乗り込む。




