新婚旅行でミューコンへ
モージャンの街から王都ミューコンの間は、馬車で2週間の距離である。いくら≪飛翔≫やドラゴンへの騎乗とはいえ、何度かは途中で夜を過ごす必要がある。
「野営も久しぶりには楽しいものですね」
ラーフェン王国がムスターデ帝国を追い出した後は、モーネも以前の生活を取り戻し、昔にここを通ったときの逃亡生活のようなことは縁遠くなっている。
あのときに比べて、ジェロ達も装備が充実し、≪魔法の収納袋≫も立派なものを所持しているので、寝袋的な簡易ではないどころか、テントとはもう呼べない小屋のような簡易宿泊設備すらも収納して来ている。
雨や風でもびくともしない頑丈なものである。
「モーネ様はこの焚き火も懐かしいかもしれないですね」
寝る場所はしっかり確保しておきながら、焚き火で≪収納袋≫から取り出した料理を温め直していく。
「でも、たまにはこういうのも良いですよね」
リスチーヌが近くで角兎を狩って来て、その焼いただけの肉に塩を振りかけたものも皆で食べる。
こういったことでも、以前の逃亡経路で苦労したことを思い出しながら楽しく過ごす。
「ヒルも一緒に来られたら、楽しめたかしら」
「イド達も一緒だったらもっと楽しかったかも」
「ヒルデリン様もイド達も今やるべきことを一生懸命にされています。私達もほんのひと時の息抜きです。夫婦だけで楽しんでしまいましょう!」
「でも、私が混ざってしまって」
「アルマティ、そういうツッコミができるようになって嬉しいわ。アルマティは特別よ。美人仲間は歓迎よ」
「でも、ジェロ様の夫人の席までは?」
「それはダメ!」
再び、ジェロとヴァルには、微妙に仲間外れ感のあるやり取りとなる。
『今回のアルマティに対しては、望むならば一緒になっても、という感じがあるわよ』
『いや、アルマティは奴隷契約が解除できないままそんなことにはならないよ。命令したみたいじゃない。それに3人も素敵な奥さんが居るのに、これ以上は』
『はい、はい』




