新婚旅行の出発地3
『あれ、もうあなたは諦めなさいね、ってユゲットにやり取りしている感じね』
『え!?あんなに仲良さそうに会話しているのに?』
『そんな直接的な表現や内容ではないけれど、そんな感じだと思うわよ』
空気になっているはずのジェロとヴァルは、久しぶりに≪念話≫で会話をしている。
そして見た目は穏やかな女子会が終わりを告げたところで、モージャンの領主館からも退出する。
「せっかくならば、オークダンジョンも見に行こうか」
「ジェロ様、覚えてくださっていますか?私との出会いの場所だったこと」
「斥候役として、イド達と一緒にダンジョンに潜ったのが最初だったよね。魔人に遭遇する目にあったけれど」
「そうですね。あのときも、ヴァルに助けられていたのですね、結局」
「ま、そういうこともあったわね」
「今度、その時の魔人であるアゼルフスに、テルシュタットにもオークダンジョンを作って貰うのですよね。食材確保という目的がしっかりしていれば楽しみですね」
「モージャンの最初のときは、魔物が溢れて何が起こっているか分からず大変だったよね」
昔を懐かしむ会話をしながらダンジョンの入口に向かう。
「私とヒルデリンも、ムスターデ帝国の追っ手を巻くときに潜らせて頂きましたね」
モーネ王女達と潜った時には立ち入り禁止になっていたが、今はもう一つのメインのダンジョンと同じように冒険者達が狩りをするために限定開放しているようである。
「今日は潜らないですよね?」
「そうだね。また機会があればね」
「モーネ様。ジェロ様のこの言葉、あまり当てにできませんからね。もう一つのダンジョン、一緒にと言ってから時間が経って、しかも1回しか行けていませんから」
「あのときには、ガニーの街をムスターデ帝国が襲う話があって、慌ててガニーに戻ったから」
日頃はテルヴァルデ付近で行動しているが、このようにモージャン付近に足を延ばすと懐かしいことがたくさんある。
モージャンは、アナトマ商会の本店の場所でもあり、アナトマ父娘にも顔を合わせ、リスチーヌの故郷ということであちこち巡る。そしてもう一泊、高級宿に泊まってから王都ミューコンに向かうことになった。




