新婚旅行の出発地
「アンブリスさん、本当に色々な手配も含めてありがとうございました」
「テルヴァルデには、モージャンの冒険者達もどんどん移籍して行っているようだ。良くしてやってくれ」
「あ、それは申し訳ありません」
「あ、嫌味ではなく。そのこと自体は良いんだよ、共存できるだろうから。近所だからこれからもよろしくな」
本当にありがたい元上司であり、彼が手配してくれた宿屋に向かう。
「良く分かっているはずなのに、これは……」
「分かっているからの手配なんでしょうね」
高級な宿であり、アンブリスの依頼にはその通り以上の対応をしたのだと思われる。
アルマティには大部屋の横の従者が一緒に泊まるような小部屋で、特に問題はない。その大部屋は、4人が同室になれるベッド配置なのも気恥ずかしいがそこまで問題ではない。
そこに大きな花束と合わせて、大きく「祝ご結婚」と書かれた横断幕が用意されていたのである。
『この世界ではこういうのが普通なんだろうか』
ジェロは前世でも経験がないことであり、戸惑ってしまう。
「ま、せっかくのお気持ち、ありがたく受け取らせて貰いましょう」
「そ、そうですね」
「ま、良いんじゃないの」
リスチーヌが割り切ってくれ、モーネも戸惑っているようだが、ヴァルは気にしていないようである。
「明日のモージャン子爵への挨拶もありますし、早く寝ましょうか」
「そうだね」
久しぶりにたくさん歩いたことも、ニースコンで慣れぬ貴族同士の会話があったこともあってか、ジェロは早々に寝付く。
それを見たモーネとリスチーヌは、お互いの顔を見ながら笑って眠りにつく。
特に眠りを必要としないが、周りに合わせているヴァルは、その3人の様子を微笑ましく見てから目を閉じる。




