新婚旅行の出発2
「あれから色々とありまして」
モーネがニースコン男爵に挨拶をしている。
考えれば、ジェロがモーネと初めて会ったのはここであり、最初はモージャンへの護衛だけのつもりが王都ミューコンまでの護衛、その後も外交使節団の一員となったのである。
ジェロがギャストル第3王子に使節団から追い出された後、モーネ達はこのニースコンにヒルデリン王子を残してラーフェン領土に入りムスターデ帝国に捉えられたのであった。
モーネがニースコン男爵に会うのはそれ以来である。
「今ではラーフェン王国も復興され、あのときのヒルデリン王子殿下も今ではベルカイム王国の国王陛下。そしてモーネ王女殿下は、飛ぶ鳥を落とす勢いのテルガニ侯爵のご婦人。おめでたいことです。そして私のところにまで足をお運びいただいたこと、感謝に堪えません」
ニースコン男爵の言葉にジェロも適当に返しはするが、やはりこのような言葉のやり取りはモーネが優れている。
ヴァルやリスチーヌ達も余計な言葉は発せず後ろで静かにしている。
近所で開拓も行っていることや、これからのお付き合いを引き続きよろしく等の言葉で別れた後は、再び馬車で街の外まで案内されそうになる。
「いえ、他にご挨拶に伺うところもありまして」
「では、そこまで」
と言われてしまうので、豊穣の女神デメテル神殿へ送って貰うようにする。
「ヴァレール司祭。突然申し訳ありません」
「え!あ、これはテルガニ侯爵。このようなところへ」
「覚えておいて頂けて光栄です。どうかそのような大層なご挨拶はなさらずに」
ギルド職員として派遣されたときにも回復薬の調合のコツを教わるなどお世話になり、ニースコン奪還後にも挨拶をしていた相手である。ガニーのローランス司祭の友人でもある。
ニースコンでは冒険者ギルドにも寄りたかったが、色々と面倒をかけることになると思われるので、神殿の後は、街中の様子を見ながらもこっそりと街を出てドラゴンのジョエルに合流する。




