悪魔フェニルス3
「フェニルス、あんた契約するって」
「あら、ヴァルの男を取ったりしないわよ」
「そういうことを言っているのでは無いわよ」
依代を作ることもなく、必要に応じて魔界から召喚するだけの契約をフェニルスと結ぶジェロ。
「いったん魔界に帰るわね。あの子孫の魔力でこれ以上いるのは彼に辛そうだから」
姿を消したフェニルスだが、その後にジェロが≪召喚≫すると再び姿を現す。
「魔力がもったいないから、このサイズでね」
最近は等身大になっていたヴァルだが、昔のヴァルと同じような、自分の顔の大きさ程度のサイズで姿を現したフェニルス。
「さっきは言いにくそうにしていたけれど」
「他言しない誓約をしたら話すわよ」
何をどうやったのかジェロには分からないが、ヴァルとフェニルスが何か行ったようである。
「それだけの秘密って何かしらね」
「このジェロも転生者なのよ」
「!へぇ、そうなのね。彼も確かに転生者と言っていたから、見た目はこっちの人間と違いは無いのね」
「やはりあんたと一緒に魔法カードを作り出したのは転生者だったのか」
「色々と前世の話を聞いたけれど、とても作り話には思えない話ばかりだったわ」
転生者であるジェロ本人を前にして、そうよね、何を言っているか分からないことが多いわよね、というやり取りを2人で繰り広げている。
そんなに困らせていたのだと反省はしつつ、なんだかんだと仲の良い間柄であったことを改めて認識するジェロ。
子供である魔族を産んで、さらにその子孫が魔人になること。パートナーである人間は寿命で亡くなるがその後にその子供や孫達と生きていくことの苦労などを、ヴァルが仲の良いフェニルスと話し合えるであろうことも想像されて安心する。




