魔人の移住受け入れ
大工職人であるという魔人アリオクに、枝を切り落とした木々などを提示すると、それらを使った家の構築は可能であるという。
「ただ、完全に1人はしんどいから誰か助手が欲しいのだが」
「アバドン、先発隊として来たのだから、お前が責任を持って手伝え」
「ぐ……分かった」
見ているとアラトラスの方が力関係は上のようである。
「で、お前はどうするんだ?」
「俺は他の者達がここに移住するのに付き合うためにあちらの村と往復をするさ」
「そうか。任せたぞ」
アラトラスが護衛をするならば、そこら辺の兵士達が叶うわけがないので安心だろう。
帝国軍と上手く縁切りができない場合には手伝う必要もあるだろうが、移住を決めた今となっては村の存続を弱みに従わされることもないと思いたい。
「ネベルソン、サグリバスもこの村の立ち上げを手伝うようにね」
「食料などをテルヴァルデから持って来て良いと言うことだよな?」
「もちろんだ。アバドンが大工作業に専念できるように必要なものは用意してあげて」
「分かった」
「ふむ。本当に魔人を差別はしないのだな」
「する必要もないし、自分の子孫が安全に暮らせる場所を作ると約束したからな」
ヴァルの方向を向いて返事するジェロを見て、なるほどと理解した気配のアラトラス。
「では、あちらを出るときには必要最低限の物だけを持って、残りは置いて来ても良いと皆に伝えよう。その方が早くこちらに到着できるだろう」
「あぁ、そうしてやってくれ。強い思い入れのある物まで捨てて来る必要はないから、これを使ってくれ」
事前にアナトマから調達していた、大容量の魔法の収納袋をいくつか手渡す。さらに、ラーフェン王国の金貨を含めた貨幣を別の小袋に入れて渡しておく。
「俺達もそれなりの稼ぎはあるのだがな」
「まぁ使わなければそれまでで良い。お守りとでも思って持って行け」
「変わっているな」
「よく言われるよ」




