追加の住民受け入れ
元ミュンヒ貴族であるグンドルフの懸念のように、テルヴァルデには移民希望者が多い。
単に冒険者達がこの街を拠点に森の魔物を狩ったり、近くのダンジョンに潜ったりすることが増えてきて、そのまま住み着く要望は想定の範疇であった。
しかし、話が増えて来たのは元ムスターデ帝国兵達である。ラーフェン王国だけでなくベルカイム王国に対して派兵されていた帝国将兵のうち捕虜になったほとんどは身代金が払われることのない戦争奴隷になっている。
もともと帝国が覇権を広げる際に吸収されたり属国になったりした国家の王侯貴族や兵士達が派兵されていたのであり、帝国自体は身代金を払うつもりはない。
その結果、ラーフェン王国とベルカイム王国には扱いに困る戦争奴隷が溢れてしまったのである。
戦争が続いているならば、その戦争奴隷を戦場に向かわせることもできるが、今の落ち着いた状態では無駄飯食い扱いである。
それどころか、ラーフェン王国もベルカイム王国も、いったんはムスターデ帝国に全土を占拠されており、帝国兵に対して不満を持っている国民も多い。
その元帝国兵をいくら戦争奴隷にしたと言っても衛兵などの業務につけるわけにもいかず、扱いに困っているのである。
復興にお金をかけたいのに、その奴隷にした元帝国兵にさせられることは、鉱山での採掘や土木工事程度でありそこまでの人数は不要である。
そこで、元ミュンヒ地方の移民や兵士達を引き取ったテルヴァルデのことがどうしても思い出されるのである。
「ジェロマン様、ラーフェン王国からもベルカイム王国からも同様のご相談が」
「そんなに買い取るお金もないよ」
「お金はあると思いますが。ただ、どちらも戦争に貢献いただいたジェロマン様への追加の報奨との名目で代金は不要と言われています」




