それぞれからの祝辞2
コンヴィル王国から王級魔法の魔導書を祝いに貰ってしまったが、返礼は何が良いかわからない。とりあえずドラゴンの死体1体分を入れた魔法の収納袋をラロシェルに渡しておく。広いところでしか中身を見ないように、と。
「もう以前よりもさらにお忙しい身。それでもお時間ができましたら、王都ミューコンへ、魔術師団の育成に来てくださいね」
以前からも良くして貰っているラロシェルには感謝しかない。
「流石の人選ということかしらね」
以前から行動を一緒にしていたからこそ知っているヴァルが声をかけてくる。
「あの人の後任を打診されたこともあるけれど、流石にもうありえないよね。法衣貴族ではなく領主になってしまったから」
「あら。子供に領主を譲った後は自由にされる方はいらっしゃいますよ」
そのようなことに詳しいモーネが発言するが、自分で言っておきながら顔を赤らめている。
次々と挨拶にくる人の相手をしているので、モーネに対してそれ以上突っ込むことはできず時間が過ぎていく。
そして次の来客である。
「この度は誠におめでとうございます」
「ユゲット様!それとジェクロエ様」
「はい、テルガニ侯爵、ご無沙汰しております」
この辺りで一番大きな街であるモージャンの領主の娘であるユゲットと、そのお付きの女騎士のジャクロエ。
「その節は大変お世話になりました」
モーネが、ムスターデ帝国への対抗協力依頼の旅に同行していた2人に御礼を伝える。
「いえ、とんでもありません。ただ、本日の主役になれなかったのは残念です」
モージャン領主からの祝いの使者ではあったが、微妙な会話に。
「なんて言いませんよ。私には色々が無理でした。どうかお幸せに」
作り笑いか分からないほどの笑顔で最後を締めて去っていくユゲット。
『女性は分からない……』
このような時に≪念話≫していたヴァルが実体化しているため独り言になってしまう。




