解放されるモーネ
「テルガニ侯爵、パレードもお疲れ様でした」
「ありがとうございます。モーネ王女もラーフェン王国から遠いここまで来られて、お役目も終わりですか。お疲れ様でした」
「はい。昔、ルスハンの街で帝国軍や魔人から助け出して頂いた後。帰国を誓った王都ジークセンからここの王都ルージャンまで、変装しながら連れて来て頂いたことを思い出していました」
「そのようなこともありましたね」
「この方はその時からいらっしゃったのですね」
確かにその当時にはヴァルの姿を皆に見せていなかった。それにこの人間サイズを見るようになったのは自分も最近である。
「実は。私のこのようなお役目はこれを最後にすることになりました」
「では、ルネリエル陛下が養子を?」
「いえ。男子が産まれました」
「え?」
「陛下に男子が産まれましたので、王太子はその子になります。あ、元々王太子であった兄のオンハルトは戦争奴隷として王城で静かに暮らすことになっております」
「それは、おめでとうございます。って、ご出産の方ですが。王妃を迎えられたのですね?あれ?でも即位などの際には……」
「はい、元々内縁の妻の方がいらっしゃいました。王城でお勤めされていた没落した貴族出身の方です。頭の良い方ですが、外見が残念でしたので、前国王、私達の父が叔父上に相応しいと下賜されておりまして。叔父上がムスターデ帝国に捕まり生死不明だったときにも、生存を信じてずっと待ち続けて下さった方です」
それでもどこかで表に出て来られたら良かったのにと思うジェロ。
「はい、叔父上が復帰されて同居できるようになっても、王族として表には出られないと辞退されひっそり内縁のまま王城で暮らされていました。私達のように極一部の者だけ知る人でした。そのため、叔父上が即位される際にも王妃となることは固辞されて」
「でも王太子の母となられたら」
「はい、これからは知られた存在になると思います。ご自身は卑下されていますが、内面の素晴らしさが滲み出ている魅力的な方ですのできっと大丈夫です」
美人のモーネが言うと嫌味のようにも聞こえるが、きっと本心からそう思える人なのであろう。




