アンネ戴冠式への招待
テルヴァルデには一時的に戻っただけで、すぐにベルカイム王国の王都ルージャンに向かうことは分かっていた。そのつもりだったが、やはり戻ると色々なことがあり、時間が足りていない。
「もう招待が来ちゃったのか。仕方ないな」
「ジェロ様は空を飛んでいけるのと近いから、これでも案内は最後だったと思いますよ」
「そうだよね。コンヴィル王国の王都ミューコンが一番遠いだろうしね」
ジェロが注力していたのは森の開拓である。
開拓地として10ブロック以上を整備していたが、これから人が増えるのであれば、農地が足らなくなる可能性がある。そのため、それらブロックの東側の森を、ドラゴンのジョエルに焼かせていたのである。
「焼畑農業として、この焼けた木々も肥料になることを期待しているんだ」
「ジェロ様って色々をご存じですよね」
本当に農地に使って行くならば、魔物の侵略から農作業をする住民を守るための壁の作成も必要になってくるだろうが、いったんは見晴らしを良くしていくつもりである。
それともう一つ。テルヴァルデから南に向けた街道の整備である。
国境を越えてラーフェン王国のゲンベランの街に向かう道の整備は、ジェロ達が居ないとなかなか進まないのである。
「みんなはジェロ様のように魔法を便利に使えないからですよ。それに魔法の得意なリスチーヌやアルマティも必ず一緒に行動されるので」
「そうだよね。だから居る間に進めていくね」
上空から見下ろして、真っ直ぐの道を作る際の目処をつけた後、ある程度の道幅を想定しながら木々を伐採していく。
土魔法により地面の凹凸もなだらかにすることで、南北の往来を容易にさせる。
「ゲンベランの手前の廃村も再整備が必要ですね」
「それにラーフェン王国との街道が整備されると、今度はベルカイム王国側への街道が欲しくなりますね」
自分達には魔法の力があるが、通常は土木工事に費用がかかる理由が段々と分かってくる。個人ではできないからこそ為政者が公共の利益のために行うのであろう。




