ベルカイム南部へ3
「え?この人数で戻るのですか?」
「まぁ往路と同じように復路も帰れば問題はないのでしょうけれど」
アンネ王女のお付きとしてベルカイム王国からついて来た貴族令嬢、リュデットとダニエマに伝えると、驚かれるがすぐに出立の準備をしてくれる。
「ジェロ、もう帰るの?最後に姉上に挨拶するね」
ヒルデリンも聞き分けが良い。本当にこんな歳で荒波に揉まれて可哀想に思ってしまう。
「ヒル、ジェロ様についていけば絶対に安全ですからね。言うことをちゃんと聞くのですよ。ジェロ様のことを兄と思って」
『ん?』
『あらあら、この子、相変わらずね』
モーネの言葉に引っかかることもあるが、姉弟の別れに水を差す無粋なこともできない。
「では、ジェロ様。ヒルのこと、よろしくお願いします。またアンネ王女も義理の妹。すでにジェロ様に懐いて頂いているようですが、ベルカイム王国を背負って立たれる方。どうかよろしくお願いします」
背負って立つと言うことを念押しされる意図を踏まえると気軽に頷けないが、仕方ない。
「はい、できることを精一杯頑張りますね」
「ジェロ様のお力でできないことなど無いと思いますが」
「最後になりますが、もし兄であったオンハルトに出会ったとしても、もうラーフェン王国とは縁を切っております。我々に配慮されて遠慮されることは無いようにお願いしますね」
この辺りは王族としての割り切りなのか、ジェロに対する気遣いなのか。
ジェロは頭を下げてモーネ王女の部屋を出る。
「では、この王都ジークセンともお別れです。平和になれば、もう少しは頻度を増やして往復できるでしょう」
「うん、ジェロ。お願いね」
ヒルデリンのお願いの範疇はどこまでか、と思うが、素直にベルカイムへの道中のことと思っておく。




