ベルカイム南部へ2
ヒルデリン王子とアンネ王女をベルカイム王国に送り届ける際、南部のワコローズとローニャックの街が解放されていれば安全に気を配ることなく安心である。
それに帝国軍もそれぞれの街の中に籠っているのであれば、ラーフェン王国南部で行ったように城門を焼き払うことなどで、戦死者の発生を回避できるかもしれない。
「では、我々は露払いのために一足先に向かいますね」
「あんな少数で何をするつもりか」
「ナウエリスやビーレアでも城門を焼いていましたよ。実際の解放後の住民の慰撫などはできませんがね」
「ならば、できることをやっておいて貰おうか。我々は人数も多いので後から追いかけて行くことにしよう」
貴族同士のやり取りに付き合うのが嫌なジェロは、これ幸いと会議室を出る。
「テルガニ侯爵!」
それを追いかけて来たのは魔術師団副団長のレーハーゲルである。ラーフェン王国南部の解放の際にもジェロに味方をしてくれていた数少ない貴族である。
「これはレーハーゲル副団長」
「この王国復興の立役者に対して恥知らずな者達で申し訳ありません」
「いえいえ、所詮は他国の孤児院出身の成り上がりですので」
「彼らは帝国支配の際にも何もできなかったのに、皆様のおかげで解放が進むと血筋だけで貴族に復帰した者達です。そういう私もそうですが……」
「レーハーゲル様は南部においてもお力を示されましたよ」
「お愛想でもテルガニ侯爵にそう言っていただけるとありがたいです」
「そんな」
「彼らのことは気にされずに、ゆっくり北上をなさってくださいね。ご無理をなさらずに」
「ありがとうございます。自分達のペースで進んで行きますね。ヒルデリン王子とアンネ王女をリブルドーの街にお戻しする目的もありますので」
頭を下げて見送ってくれるレーハーゲルのおかげで少し気分を落ち着かせて王城を出ることができる。
『あぁいう男が多いと楽なのにね』
『本当だよね』




