ラーフェン戴冠式典
ルネリエル王弟が国王に即位し、自ら王冠をかぶる戴冠式が王城において執り行われた。
先代国王は死亡していたこともあり、またこの世界の宗教は、例えば豊穣の女神デメテルの神職が冠を授ける文化でもないので、自らかぶることになったのである。
参列していたジェロにすると、歴史の教科書での戴冠式の絵画ぐらいでしか見たことが無い厳かな式典に参加していることは不思議な感覚であった。
「では、国民への宣言、披露になります。皆様もお願いします」
王城勤めの役人の案内に従い、王城から国民に話しかけるテラスに移動する。ジェロも侯爵という高い爵位であるためその場所に同行することになる。
「ラーフェン王国の国民よ。ムスターデ帝国の占領下で苦労をかけて申し訳なかった。だが、ここに参列の各国、そして国民の皆のおかげで王国の領土全てを取り返すことができた。ここにあらためてラーフェン王国の復興を宣言する。そして、我が祖父、建国王が帝国から独立して国民の生活を豊かにすると誓ったことを、我ルネリエルもあらためて誓う!」
「「「うぉー」」」
「ラーフェン王国万歳!」
「ルネリエル陛下万歳!」
前国王より人格者として人気のあったルネリエルの即位であり、国民への宣言の中で謝罪を口にする国王への期待は高いことが伺える。
モーネ王女とヒルデリン王子も挨拶をした後、パレードに移る。
王城の城門の手前の広場で、屋根のない馬車に乗り込んだルネリエル、その後ろの馬車にモーネが続き、さらにその後ろにはドラゴンにジェロと騎乗したヒルデリンとなる。
『ジェロ、落ち着きなさいよ。ジョエルまで動揺が伝わるわよ。登城のときと同じでしょう』
『あのときはこれほどの人数じゃなかったよ』
「ジェロ、お願いね」
「はい、承知しました」
『この子に言われたら仕方ないわね』
『う……』




