ラーフェン戴冠式典前3
「お、テルガニ侯爵ではないか」
「これは、フェリック王太子殿下」
話しやすいトリアウエとの会話に切りがついたのを見計らったかのように声をかけられたのは、コンヴィル王国の王太子フェリックであった。
「何をそんなに驚いている?このラーフェン王国から帝国軍を追い出すときに共闘もしたのと、ラーフェン王国との交流を深めるために王太子である俺が来るのは不思議でもないだろう?」
「は」
「それにしても、ワイバーンだけでなくドラゴンまでも従魔に。流石はテルガニ侯爵。どうだ、もっと広い領地が欲しくはないか?俺が国王になった暁には、無能で血筋だけの貴族を追い出して行くから楽しみにしておけよ」
「今の領地だけで手一杯ですのでご容赦の程を」
「相変わらずだな。だが、お前ほどの実力者をみすみす手放しはしないからな」
最後の言葉は肩を抱きしめられての小声であった。それだけ怖く思ってしまう。
『ジェロの苦手なタイプよね』
『国王っていうのはあんな力強さもいるのかもね』
『あら、それと反対のタイプが』
『まさか、ユニオール皇国のジャムス皇太子?あの大国の皇太子が?』
顔を少しだけ知っていても、当時は子爵で冒険者としての対応だったようなものであり、自らが挨拶に赴くほど身の程知らずではないと考えて仲間達と話をしているジェロ。
「テルガニ侯爵、つれないですね」
「(うわ!)ジャムス皇太子。覚えておいて頂いて光栄です。ご無沙汰しております」
「先ほど、私のことに気づいていらしたのに」
「そのようなことは……」
「このラーフェン王国、そしてベルカイム王国でのムスターデ帝国に対するあなたのご活躍、皇国として大変ありがたく思っておりますよ」
「とんでもないことです」
『これはこれでジェロには苦手な相手ね』
『勘弁して欲しいよ』




