ラーフェン戴冠式典前
「ま、その話は置いておいて。先ほどの献上品はびっくりしましたよ。流石といえば流石ですが」
ルネリエルが空気を変えるように、話を変えてくる。
試行錯誤して入手したドラゴン1体丸々の死体のことである。
「あれを王城に飾っておけば、S級魔物を簡単に倒せる者が身近にいるのだと威嚇になりますからね」
「喜んで頂けて幸いです」
「ただ、そのS級魔物のドラゴンを生きたまま従魔にしている方がいる方が伝説になりますかな。ぜひこの度この王城に集まった各国の来賓達に、ドラゴンの死体と従魔を従えたテルガニ侯爵を見せつけてやりたいと思います」
「叔父上、かたいお話は終わりですか?」
「ジェロ様、ヒルが大変喜んでおります。あのドラゴンの背中に乗ったことを。王城に到着する直前だけ、馬車からドラゴンの騎乗になったと。そのジェロ様との2人乗りが」
「ずっと希望されていたのですが、落ち着いて乗れる場所がこの王城近くだけだったのと、王子様の帰還を少しでも演出できればと思いまして」
「流石のご配慮、ありがとうございます。私も乗らせて欲しいですわ」
「それは流石に……」
「テルガニ侯爵、ぜひ戴冠式の後のパレードの際に、もう一度ヒルデリンを乗せてあげて貰えないでしょうか」
「そんな、ルネリエル様まで」
「いえいえ、我々がこの城に戻ることができたのも、王国の復興を宣言できるのもテルガニ侯爵、いえ、ジェロマン様のおかげです。ぜひともよろしくお願いします」
ルネリエルにまで頭を下げられると断ることができない。
『また既存の貴族達に恨まれてしまうな……』
『今さらでしょう?』
『早く家に帰りたくなるだろうな……』
『もうしばらく頑張って』




