領地への帰国準備
「ジェロ様、どうしてパーティーに一緒に連れて行ってくれなかったのですか!」
くたくたになり宿屋に戻った翌朝、リスチーヌに詰められる。
「ごめんね。声をかける時間もなくて」
「だからと言って、どうして彼女なんですか。しかも同室で泊まるなんて」
ヴァルが面白がって等身大で姿を現したまま、一緒に朝食を食べている。ここでも優雅な食事マナーを披露している。
ワイバーンのルッツを連れたコンスタンはナウエリスの街の外で待機しているし、街中での買い物のためについて来たのはリスチーヌとアルマティだけ。魔人のネベルソン達も面倒を起こす可能性を減らすためにコンスタンと一緒にいる。
アルマティは日頃から口数も少ないが、この場で口を挟む勇気は無い。
「いや、だから。ヴァルはこんな等身大で寝ていないし、依代に戻っていたから、1人で寝ていたよ」
「どうしてこんな時期に2部屋も取れてしまったのかしら。せっかくなら相部屋に……」
そこへ渡りに船と思える、王室からの使者がやってくる。
「テルガニ侯爵へ引渡する戦争奴隷300人の手続きに伺ったのですが」
「ありがとうございます!すぐに伺います!」
すぐに宿の退去手続きを行い、街の外で騎馬や食糧等も併せた引き継ぎを受ける。
「あのー、本当に私達を引き取られるのでしょうか。ミュンヒ地方の移民の受け入れもされていると言うのは本当なのでしょうか」
恐る恐る聞いてくる若い兵士。
「大丈夫よ、このジェロマン・テルガニ侯爵は懐の広いお方だから、悪魔だろうが魔人だろうが帝国兵だろうが受け入れてくれるわよ」
リスチーヌがまだ少し怒っているような言葉で応対している。
『この兵士達、みんな若いわね』
『そうだな……』




