ナウエリスの解放
ハポリエルの手引きで、街を占拠している帝国軍の幹部を次々にさらっていくジェロ。
残念ながら事前に手配していなかったので、モーネ王女の陣営に奴隷商人はいないため、単に捕虜が増えていくだけであり、軍事秘密などを入手することまでは出来ていない。
それでも、さらった幹部の数が二桁になると、帝国軍の士気が下がっているのが明らかになってくる。城門や城壁の上にいる帝国兵の近くをワイバーンで脅すと、最初は矢を射ろうとする気概があったのに、今は単に逃げ惑うだけである。
「そろそろ頃合いかな?」
降伏を促す低い声を風魔法で拡散して街の上空を飛んでまわる。
「今の段階で降伏して来た者達の命までは取らないと約束する。しかし、いつまでも抵抗する者達の命までは保証しないぞ。外のラーフェン王国軍の陣営に、武器を捨てて投降するが良い」
今度はかなり効果があったようで、その日の夜のうちに門扉がなくなった城門から100人を超える者が王国の陣に投降して来た。
そうなると後は雪崩が起きたような感じで、その次の夜にはその倍、さらにその次の夜には数百人となり、もう帝国軍は軍の体をなすようにはなっていない。
「最後の一押しです。皆様の軍勢からも降伏するよう大声を上げさせてください。もしここで降伏しないと攻め入るぞ、と」
ジェロはわざと各貴族の軍勢にも行動を促す。
そしてジェロ自身も最後の一押しで、再び降伏を促す低い声を、街の上空から拡散する。
「ジェロ様、もうこんな感じで終わりでしょうか」
兵士達の降伏を止めようとしていた隊長や将官クラスの者達も、街を囲む王国軍の陣地に両手をあげて向かって来ている。




