ハイオーク
『ジェロ、この奥、ちょっと怪しいわよ』
『え?そうなの?』
「リスチーヌさん、ちょっとこの先は慎重にお願いします。何か怪しいです」
「そう?分かったわ」
各班が分岐ごとに分かれて行った結果、ジェロ達7人の班のみになり進んでいる中で、ヴァルが何かに気づいた。リスチーヌが慎重に曲がり角の先を覗いてみて引き返してくる。
「確かにこの先の空間は今までより大きかったわ。奥の方が暗くて見えなかったけれど、何か居る感じだった。ここまでに遭遇した単なるオークとは違う気がする」
「よし、他の班が来るまでここで待機しておこう。休憩がてら武器などの手入れもしておこう」
ガニーからの冒険者5人組パーティー“イドと盟友”の元々リーダーであったイジドリック、通称イドが何かと仕切ってくれるので、ジェロにはありがたい。
『見てこようか?』
『え?俺から離れられるの?』
『これぐらいの見える範囲なら多分。やってみるね』
「私もちょっと覗いて来ますね」
ジェロは皆に声をかけて曲がり角に進む。
『ただいま。この空間にいるのはハイオークが8匹だね』
『えー、急にCランクに』
「皆さん、ハイオークが8匹かも」
「え!?目が良いんですね」
「いえ、何となくそんな感じでして」
「なおさら別班の到着を待つしか無いな。それにかなり最奥に近づいた証拠だろう」
そこへやって来たのはメオンが入った7人組。事情を説明し、一緒に突入することになる。とはいえ、可能であれば遠距離攻撃で何匹かだけ釣って来ることで戦闘を分散したいとなり、目がいいと思われたジェロが釣り役になる。
『調整の方向を失敗したー。俺が釣り役なんて。ヴァル頼める?』
『仕方ないわね』
ジェロが遠目にそれっぽく敵の居そうなところへ≪火球≫を放ちつつ、ヴァルもその先で実際に当たりそうなハイオークに≪火球≫をしっかり当てることにした。




