ミュンハーフェンでの拠点3
「この地方で戦があったのはだいぶ昔の話と聞きましたが、増援できるだけの部隊が常駐しているのですね」
別の酒場に移動して情報収集を続けているジェロたち。
「そうだな。農業が盛んな地域だが、納める税金が高くてな。若者たちは食いっぱぐれのない兵士を選ぶこともあるな」
「親たちにとっては不安じゃないのですか?」
「国外で転戦させられているのがその親たちになるからな。女子供だけがこの街に残っていたが、その子供たちが成長したのが今だ。母親にしてみたら戦に子供を関わらせたくはないだろうがな」
「今回みたいに遠征することも多いのですか?」
「いや、滅多にないどころか初めてじゃないかな」
「それはそれで心配ですね。増援が必要ということは、遠征先が……」
「おいおい、滅多なことを言わんでくれよ」
自分たちがその増援部隊の荷馬車を焼き払っている後ろめたさがあるなか、会話を続けている。
「何か街中の空気感では、ミュンヒ王国の復興を願っている感じではないな」
「そうですよね。もう戦争は嫌、という人の方が多そうですよね」
「ディートマルたちは、きっとこの状況を知らないよな」
「はい、その遠征ばかり、国外で転戦させられている部下たちとしか会話できない20年だったでしょうから」
「これはミュンヒの独立戦争を起こすことは避けた方が良いかもな」
「彼らは納得するかわからないですけれど」
「うーん」
引き続き情報収集を続けていると、街に残った母親たちは特に厭戦感があり、その子供世代も結婚して更なる子供が生まれた家庭ほどその感覚が強いことがわかる。
「最近だったラーフェン王国と違って、帝国に併合されて20年も経つと王国復興の気持ちは減るのだろうか」
「そうですね。二等国民の扱いにもなれると、新しい命を守ることの方が大事になるのかもしれないですね」




