インラントの小康状態2
「流石はテルガニ伯爵。少人数でよくインラントの窮地を救ってくれた」
インラント側の報告に対しルネリエル王弟からねぎらいの言葉がかけられる。
「ところでこちらエアライツの方は?」
ジェロが返し言葉で質問をするが誰からも言葉がない。仕方ないという感じでルネリエルが話し出す。
「実はこちらは芳しくない。ワイバーンが居なくなったことを知られてしまったのか、ときどき街の中から騎兵部隊が飛び出して来て」
「それはチャンスですね。落とし穴は活用できたのでしょうか?」
「あんな失敗作のおかげで!」
騎士団のハーニッシュ副団長が割り込んで来る。
「失敗作ではないだろう?インラントで何度も成功していたではないか」
「では、我々騎士団がミスをしたと?」
「……」
どうも雰囲気が良くないのでそれ以上は質問をせずに引き下がるジェロ。
夜になりこっそりルネリエルに呼び出されたジェロは事情を教えられる。
「囮役など騎士団員でも簡単だと言っていたのだが、敵兵より自分たちの方が先に落とし穴に落ちて怪我をした上に、帝国軍に追い討ちをかけられてしまったのだ。治療は一通り終わってはいるが、正直なところ士気はかなり落ちている。このままではエアライツを落とすどころか、取り囲む我々の陣を守ることも難しい」
「それは……いっそのこと一度インラントの街の中に戻られますか?」
「う……それでは士気が……いや、このままでは将兵の命の保証もできない。わかりました。インラントに戻りましょう!」
翌朝に、陣を引き払いインラントに戻ることを宣言したルネリエルに反対意見を言うものは居なかった。




