貴族交流の苦労2
ジェロが疲れ切った様子を見せることになったのは、ルネリエルが今回のインラントの街の解放の立役者はテルガニ伯爵であると宣言したことに起因する。
日頃からジェロのことを不満に思っており、あわよくば息子もしくは自身がモーネ王女と結婚を狙っているノイナイアー侯爵やハーニッシュ侯爵はなおさら面白くない。この2人だけでなく、他国の孤児院育ちが伯爵になりモーネ王女たち王族と親密な関係にあることを面白く思っていない貴族たちもたくさんいる。
逆に、そのことを置いておいても、飛ぶ鳥を落とす勢いのテルガニ家と仲良くなっておけば、貴族社会に不慣れな新興貴族を上手く操る機会があるかも、という下心いっぱいの貴族たちもいる。
魔術師団副団長でもあるレーハーゲル伯爵のように、素直に好意を持ってくれている感じの貴族もいるが、下心ありの人物と区別が難しいところがなおさらに面倒である。
『本当、貴族の社交界って面倒ね。魔力、腕力などの力が全てで無いから』
『悪魔だとそういう直接的な力がある方が良いのかな。人間でも直接的な力がある人も偉くなることもあるけれど、政治力のある人が偉くなったり、昔の先祖が頑張ったことからの血筋が関係したりするからね』
『血筋なんて、血統魔法など何か価値があるものが引き継がれでもしていないと』
『何それ、血統魔法?』
気持ちが疲れている中、耳慣れない魔法関係の単語を聞くとそこに現実逃避するジェロ。ヴァルも理解した上で、簡単な説明を行う。
血統魔法の多くは先祖が強大な悪魔などと契約を行った結果であり、その血筋の者だけが使える強力な魔法であるという。秘伝として身近な者だけに伝承するやり方に近いが、遺伝子的に血がつながらない者には使用できないようである。
『ま、それだけ強力な魔法の場合には制約もあり、血が濃い直系では生まれるのが女性だけになったり虚弱体質になったり色々と面倒もあるのよ。血を濃くするために近親結婚を繰り返した結果の問題も発生するし』
『良いことばかりではないんだね』
『そうね、呪いと表現されることもあるわね』
そういう話だと血筋の話も理解できるのと、なんだかんだといっても前世でも血筋だ旧家だという話があったことは理解しているジェロ。ただ、自身がその貴族に仲間入りしたという気持ちがまだまだなのである。




