貴族交流の苦労
「ジェロ様、よろしいのですか?」
「え?うん。こっちの方が気が楽で。あ、でもコンスタンたちはあっちが良かった?ごめんね。あっちで泊まって来て良いからね」
「いえいえ、ルッツの大きな体を街中に、というのは気を使いますので」
「じゃあリスチーヌとマドロールだけでも。あっちの方が水の便利が良かったりするから特に女性には」
「いいえ、教えて頂いた水魔法がありますから大丈夫です。でもお気遣いありがとうございます」
インラントの街の外に設営された陣営の中に、テルガニ家の主従は居る。
流石に戦争奴隷100騎の全員を街中に入れるのは難しそうだったが、ジェロと数人には当然に宿舎も良いところを割り当てられていた。しかしジェロが「みんなと一緒がいい」とこちらに来てしまったのである。
「あ、それとも私たち女性陣だけがあちらに向かうといえば、ジェロ様もついて来てくださり、他の貴族の方々と交流をしてくださいますか?」
「マドロール……それが嫌でここに来たのに分かっていて言っているよね」
「はい、誰かは申し上げないと。僭越ながらその役目は私が最適かと自認しておりますので」
「ごめんね。こちらをあからさまに好ましく思っていない人達だけでなく、活躍した人にとりあえず伝手を作っておこうという人達も居て……」
「そういうことを上手くかわしていく練習をして頂ければと」
「頭では分かっているんだけど。最低限はするから、今日は勘弁して……」
「グンドルフ、今は逆効果だからやめておけよ」
「ディートマル様、流石に私も認識しております。ただ、特にルグミーヌ王国の方々には折を見て交流して貰いたいですよね。将来のためにも」
「やりすぎないようにな」
少し遠目でジェロたちのことを見ている、元ミュンヒ王国の主従も、昼間の貴族間でのやり取りに疲れたジェロの様子を理解しているようであった。




