インラントの解放3
『わざとらしい芝居ね』
『良くわからないけれど、政治とはそういうものなんだろうな』
オーティス司令官と、レーハーゲル伯爵、そしてルネリエル王弟のやりとりをほぼ最前列で見ていたジェロとヴァルの感想である。
城門から街の真ん中の代官館までの長距離を、王弟たちにずっと歩かせるわけにも行かないため、すぐにルネリエルとオーティスは騎乗する。
そして街が解放されたことを住民に知らせるため、二人は並んで代官館まで進む。その道中では、上空から呼びかけたときと同様に、ジェロたちの風魔法で街の解放を宣言していく。
最後に代官館にたどり着く頃には住民たちもかなり集まって来ている。
「ラーフェン王国のルネリエル王弟殿下である!」
集まった住民に対し、騎士の1人が大きな声で叫ぶ。
それを合図にわき起こった歓声に対して、ルネリエルが右手を上げて応えた上で言葉を伝える。ここでも風魔法を使用している。
「インラントの街の皆さん、ルネリエルです。まずはムスターデ帝国の支配が終わったことを宣言します。そして解放が遅くなったことを謝罪します」
再び起こる歓声の後、国の立て直しはこらからであると説明し協力依頼についても言及する。
代官館で集まっているラーフェン王国の幹部たち。
「インラントを解放した旨は狼煙で国内に伝達させています」
「モーネ王女たちの解放状況が不明ですので、まずはこの街から東方面の調査を継続します」
「この街を支配していた帝国兵たちはいったん街から連れ出して、構築中の砦に向かわせました。これで住民感情を刺激することも減ると思います」
次々と行われる報告。
「皆、良くやってくれている。ただ、まずは街の解放を労ってあげて欲しい」
ルネリエルが、せめて今夜だけは休むように指示している。




