インラントの解放2
ある程度の事情は認識しているオーティス・ロイスナーだが、インラントの街の帝国軍司令官である立場もあり、周りの目があるためにある程度の芝居を続ける。
「身代金を要求されても支払う余力はありません」
「よろしいのですか?そうなると戦争奴隷を継続になりますよ。弟君もいらっしゃるようですが」
「兄弟だからと言って区別はできません。奴隷継続もやむなしです」
「わかりました、仕方ありませんな。ところで、インラントの街の解放はいかがでしょう?これ以上の抵抗は無駄とご理解いただけたと思いますが」
「住民だけでなく、帝国軍の将兵の命の保証をして頂けますかな?」
「住民については元々我々ラーフェン王国の民ですから当然ですが、帝国軍の将兵ですか……街の解放が決まった後、二等国民として酷い扱いを受けた住民から彼らを護衛するのは難しいので保証は難しいかと」
「それは仕方ありません。少なくとも攻め手であるラーフェン王国軍、ルグミーヌ王国軍が意図的に酷い扱いをしないことを約束いただければ結構です」
「それならば」
「では」
城門の上のオーティス、城門の外側のハンネマン・レーハーゲルの2人の言葉は近くに居た両軍の将兵、そして街内の住民たちにも聞こえている。2人ともそのことを意識したやりとりを行なった上で、オーティスは城門のところまで降りてくる。すでに門扉が焼かれた東門であるので、その様子は場外からも見えている。
門扉の無くなった東門にて、司令官であるオーティスが腰の剣を地面に置き、少し後ろに下がってから座り込む。いつでも捕らえて貰えば良い、という態度である。
「帝国軍司令官オーティス・ロイスナー殿の潔い態度には、このルネリエル、感服いたしました」
ルネリエル王弟が前に進み出て、馬を降りオーティスの横に立ち、手を取り立ち上がらせる。
「あなたに縄は不要でしょう。さぁ、インラントの平和のためにご協力をお願いします」
ルネリエルがオーティスと並んで、城門の中に進んでいく。




