インラントの解放
「まったく!オーティスめ!ロイスナーなんて50年も前に滅亡した王国なのにその王族だったからと言って司令官になど。二等国民のくせに。俺様がなんであんな奴の副官なんだ。早くここで手柄を挙げて本国に戻りさらに出世しないと」
オーティスの目付役であり副官である帝国軍人が自室に戻り愚痴っているが、
「ん、なんだ!?……」
と急に倒れ込む。
「ようやくこれで最後か。目付は全員確保できたかな」
上空でハポリエルから引き渡しを受けたジェロ。念のために猿ぐつわもしているし、後ろ手に縛りつけている状態で、ラーフェン王国の陣営に連れ帰る。
その目付たち全ても戦争奴隷にすることで、ラーフェン王国軍の命令を聞くようにさせてある。
「テルガニ伯爵、流石ですね。ありがとうございます。早速、最後の仕上げに向かいましょうか」
報告を受けたルネリエル王弟が、苦虫を潰したような表情のノイナイアー侯爵とハーニッシュ侯爵の方向は見ずにインラントの街への進軍を指示する。
ジェロも戦争奴隷にした目付全員とザームエルを連れて城門近くまで進む。彼らを足手まといにしないためにも騎乗させて、軍勢の最前面に押し出している。
その様子は当然にインラントの街の監視に気付かれて、司令官であるオーティス・ロイスナーのところにも報告が届く。オーティスも知らなかった体で驚いて見せ、急いで城門の上に登る。
「見覚えのある顔ぶれですね。どういうことか教えて貰えますかな?」
「帝国軍でも中枢と思われる方々を確保させて貰っています。身代金を支払って頂けますかな?」
ハンネマン・レーハーゲル伯爵が答える。ラーフェン王国魔術師団副団長でもある彼は、ノイナイアーやハーニッシュと違いジェロたちの活躍を素直に認めているため、この交渉役を買って出ている。




