インラントでの捕虜3
「では、特に命令というわけでもないけれど、色々とお話ししましょうか」
ジェロが捕虜であるザームエルに話かける。
「そのロイスナーという国はどの辺りにあって、どのくらい前に帝国に滅ぼされたのかな」
「そんなことを知ってどうするというのだ。まぁその程度は答えられるが。場所はルグミーヌ王国の南、元ミュンヒ王国があった場所の西で、帝国に滅ぼされたのは50年ほど昔のはずだ」
ディートマルとグンドルフが頷いているから嘘ではないのであろう。
「50年も昔だと当時のことを知るものもほとんどいないだろうに。まだ王国復興を目指しているのかな?あなたも王族とは言っても、二等国民として虐げられただけの記憶しかなさそうな年齢ですけど」
「俺は王族の実感はない。ただ兄上と一緒で、血筋だけで今の役職を与えられているから、その程度の感覚はある。王国復興は現実的ではないだろう。みんな諦めている」
「そんな!なぜ!ロイスナーの誇りはないのですか!」
「グンドルフ!」
「さっきの話では、お前たちはミュンヒの、という感じか。20年程度ならまだ記憶の人も居ても、50年では世代も2つ変わってしまっているんだぞ!」
「ぐ!」
「それに、その50年前、ミュンヒ王国はどこまで助けてくれたんだ?ルグミーヌ王国も。当時の本当のことなんて俺も知らないが、隣国が滅ぼされたのを見逃したんだ。その次が自国になるのは分かっていただろう?あの帝国だぞ。国土拡大戦略は昔からだろう?」
「我らが祖先はきっと仲間を見捨てたりしない!」
「まぁ何があったかなんて、当時の国家中枢にいた生き残りでないとわからないだろうし、そんな奴はもう生きていないだろうからな」
「……」
「それで、帝国の目付役を倒してしまえば、ロイスナーの皆さんは我々の味方になってくれますかね?」
「このインラントの街にいる帝国軍はロイスナー出身だけでないぞ。ラーフェン王国が各街を解放しだした後に、いろいろなところからかき集められたからな。だが、結局は二等国民とされた者たちだし、このまま負けるのであれば可能性はあるかもな」




