ラーフェン西部
ジェロたちは王都ジークセンを出発し、街道を西に進んでいる。
この軍隊の一番中心人物は王弟ルネリエルであり、いくらこちらが少なく分けられたと言っても、王国騎士団などそれなりの人数がその周りを取り囲んでいる。
ジェロは救国の英雄であるとはいうものの、主には他国であるコンヴィル王国の侯爵であり、参戦人数も100人と少数であること、ワイバーンという他者とトラブルになりかねない従魔と一緒であることから、軍勢の最後尾を進んでいる。
「まったくひどい扱いですよね」
「いや、リスチーヌ。そうは言うけれど、こっちの方が気楽で良いからありがたいよ」
昼間は、立場を踏まえてジェロも貴族らしい上等な馬車に乗って進んでいるのだが、夜の野営のタイミングになると、なんだかんだと仲間たちと一緒に気楽に夕食をとっている。
「王弟との晩餐に呼ばれましたら、もう少し食事マナーを学ぶ機会になり得ましたのに」
「いや、グンドルフ。そんな毎晩呼ばれたら気疲れしてしまうよ。みんなと一緒が良いよ」
「ところで、元ミュンヒ王国の方に様子見に行って貰っていた人たちとはすれ違わないね」
「ジェロ様、逃げたわね。でもそうですね、早ければそろそろ遭遇する可能性もあると思ったのですが」
「彼らも祖国に帰って、調査と称してあちこちを見てまわるのを楽しんでいるのかも」
「カスパー、うちの騎兵隊はそんなことはしない!この軍勢に俺たちが居るとは思わず、すれ違って開拓地テルヴァルデに戻っているだけだろう」
「ヤーコプ、そんな怒るな。カスパーも本気ではないだろう。それに、あの地方の情報は少しでも多い方が良いから、まだすれ違っていない方が俺はありがたいぞ」
「ディートマル様」
「それに、黒ローブで統一しているこの集団を、同じ街道を使っていれば気づきますよ。まだすれ違っていないのではないかと」
「そうだね。万が一で何かあった方とは思いたくないし、これからの連絡を待とうね」
ジェロが言葉をまとめて話を終える。
『礼儀作法の話からはうまく逃げたわね』
『ヴァルもやってみたら良いのに』
『あら、私だってそれなりにはできるのよ』
『なら今度一緒に食事してみるか』
『みて驚かないようにね』




