モージャンの秘密
メオンとジェロは、モージャン冒険者ギルドのマスターであるザールの部屋に訪問する。
「ガニーの街の。今日はどうした?」
「ザール様、受け持ちの範囲でこの3日もゴブリン退治をして来ました」
「そうか、ご苦労だったな」
「伺っても良いでしょうか」
「何だ?」
「ゴブリン村の数が多すぎます。それに一度殲滅したエリアなのに2〜3日でまた魔物が復活しております。異常です。何かご存知なのではないですか?」
「やはりか。そうだ、魔物の数が異常であり、いくら殲滅したつもりでも次々と現れるのだ。冒険者達が大怪我するほど強い敵ではないのだが、数の暴力と際限なさに疲労が溜まり不覚を取るものが増えてくるのだ」
「それで各街へ支援依頼を……」
「そうだ。どうしたら良いのか正直わからない。冒険者の数が増えれば殲滅力が上がることを期待したのだが、狭い範囲に絞ってもその状態というのは……」
「ジェロ、何か意見は無いか?」
「愚考しますところ、やはりどこかには起点となることがあるのでは無いでしょうか。急に面的に魔物が急増するというのは中々想像しづらいですが、例えばどこかのダンジョンの魔物が溢れるスタンピードが発生していて、それが広がっているという方があり得そうでは無いでしょうか」
ジェロはザールが怖いのでメオンに向かって話すようにする。
「ふむ、あまりに広い範囲であるから思い至らなかったが、可能性はあるな」
「他の街の応援部隊とも情報交換を行い、その仮説の裏付け確認をしてみよう。集まれる日時を別途案内する。今日は助かった」
ザールからその言葉が出たことに驚きながらその素振りを見せないメオンはジェロを伴って宿屋に戻る。
「ジェロ、良い発想であった。助かった」
「いえ、単なる思いつきですので」
宿屋ではバスチャンが上手いこと音頭をとり、冒険者達のウサを晴らしているようであった。ジェロは自分には苦手なことであるから、適材適所のメオンの采配に感心する。




