ベルカイムについての使者
王都ミューコンに赴いたときにもジェロたちには出兵指示の話はなかった。ガニーの北東にあたる王都ルージャンに向けてコンヴィル王国がサンレーヌから派兵する、との話を事前にモージャン冒険者ギルドのアンブリスから聞いていたにも関わらず、である。
それを踏まえて、王都の冒険者ギルド本部のザールからも「ベルカイム王国内のムスターデ帝国軍に対してはユニオール皇国が頑張るだろうから、ジェロには領地経営に専念させたいのだろう」と言われていた。
近隣の領主達に挨拶に行った際にも特に話題にもなっていなかったので、正直なところジェロは能動的にはベルカイム方面について意識をしていなかった。
「テルガニ侯爵閣下、こちらラーフェン王国のルネリエル王弟殿下とモーネ王女殿下からの書状になります」
ラーフェン王国からの使者が書状を差し出してくる。
ガニーでのジェロの屋敷で、まともに謁見の間を使うのは初めてである。使者からエヴラウルに手渡された書状はイド経由でジェロの手元に届く。
ジェロが読んだ上でイドに戻して皆にも読んで貰う。
「ヒルデリン王子殿下を助けて欲しいというお二方の書状、拝見しました。ただ、詳細は使者殿が口頭で、と」
「はい」
「ヒルデリン王子殿下はベルカイム王国のアンネ王女殿下と一緒に、王都ルージャンの奪還に向かわれていたのではないのでしょうか?皇国軍と共に。皇国がリブルドーの街を奪還して帝国軍を南北に分断した上で」
「はい、おっしゃる通りです。コンヴィル王国からもサンレーヌの街からルージャンに向けて出兵されていますが、ラーフェン王国はルージャンに対しては遠いので国境のローニャックの街に対して牽制しております」




