ゲンベラン領主代行
ニースコンの街では、デメテル神殿のヴァレール司祭のところにも顔を出す。
「ご無沙汰しております。今度、近くの領地をいただき開拓することになりました」
「テルガニ閣下、わざわざこのようなところまで何度もお運びいただき申し訳ありません」
「いえ、お世話になりました司祭様のところですので」
「そうおっしゃってくださるのでしたら下世話なお話を。きっと開拓された拠点での神殿についてあちこちからお話が来ると思います。可能であればガニーの司祭であるジェロードのことを考慮いただけましたら。不躾なお願いで申し訳ありません」
「いえ、完全に失念しており申し訳ありませんでした。はい、ガニーのデメテル神殿の孤児院で育てて貰った私、その御恩は忘れておりませんので」
「きっとジェロードからは言葉に出せないと思いましたので……」
「いつも本当にありがとうございます」
少し戻ってきていたシスターや孤児達にお土産のお菓子を配りながら、冒険者ギルド、そして宗教の世界での勢力争いに関わることになったのだと心の中でため息をつく。
そして戦時中には、外交使節団の奪還後に苦戦した場所や奪還時の橋なども通りながら、ゲンベランの街に向かう。
「ラーフェン王国ではまだ領土全てをムスターデ帝国から解放できていないこともあり、あくまでも各街は領主ではなく領主代行が王家から派遣されているようです。その代行の名前はヨナタン・クーア様とのこと」
「面倒な人でないと良いのだけど……」
「コンヴィル王国との国境の街ですし、温和な人が選ばれていると聞きましたよ」
領主館へ前触れも行った上で、貴族らしい馬車で訪問を行うジェロ達。面談の部屋に向かうのはジェロとイドとレナルマンの3人である。
「はじめまして。ジェロマン・テルガニと申します」
「そのようにかしこまらず。ヨナタン・クーアでございます。ラーフェン王国を救って頂いた方にそのような。どうか楽にしてくださいませ」




