王都の屋敷
「きっと、ユニオール皇国など他国の貴族になってコンヴィル王国を出て行ってしまわれないように、故郷のガニーの近くに土地を与えるということなのでしょうね」
盛り上がっている仲間達から少し離れて、レナルマンがこっそり話しかけてくる。
「そうだよね。皇国に行く気は無かったけどね。まぁ下手に領民が居る場所を与えられると既存の領主と揉めるだろうし、誰も住んでいない場所ならその点は安心だよね」
「そうですね、きっとガニー男爵やニースコン男爵の領地に含まれない王家直轄の王領だった場所なんだと思います」
「何をコソコソ話しているんですか?頂いた屋敷に移動しますよ!」
ユゲットにも声をかけて、王城に向かった服装や馬車のまま、与えられた屋敷に向かう。
「え!?本当にここ?」
モージャン子爵の屋敷も立派と思っていたジェロ達にすると、それよりも大きく立派な屋敷であり不安になる。門番も立っているので、レナルマンが馬から降りて屋敷の持ち主を確認する。
「私、テルガニ侯爵家中の者です。こちらのお屋敷のご主人様のお名前を教えて頂いてよろしいでしょうか?」
「は、こちら王家からテルガニ侯爵に下賜されたお屋敷になります。もしや馬車の中にはテルガニ侯爵が?ご案内させて頂きます!」
門の両側に槍を構えて立っていた片方の門番が屋敷に向けて走り出す。残った方の門番が門を開き、馬車などを敷地内に迎え入れる。
広い庭を馬車と騎馬のまま進み、屋敷前で停めた馬車から降りる。
先に走って行った門番と一緒に男女1人ずつが扉の前で待っている。
「ようこそいらっしゃいました。いえ、お帰りなさいませ。執事のクシミールと申します。こちらは筆頭女中のアリエメでございます」
3人が頭を下げてから扉を開けると、大きな広間であり、扉から続く絨毯の両側にはこの屋敷の従業員と思われる男女が揃って並んでいる。
「「お帰りなさいませ、テルガニ侯爵閣下」」




