モージャンの宿屋
冒険者ギルドで案内された宿屋、隣接する2軒に30人の冒険者達と一緒に移動する。
低級すぎることはないが高級でもなく、馬車も預けられる、食堂もついている、まぁまぁの宿屋であった。
「ここで解散する。また明朝に集まり、割り振られた森へ向かうことにする。明日は様子見だから野営まではしないのでそういう準備でいいが、明日次第でそれ以降は検討する」
「今日のオークの報酬などはいつ分配される?」
「この遠征の成果は最後にまとめて精算する予定である。もちろん日々の利子は考慮する。先払いを希望する者には利子はないが個別対応は行う」
「死んじまう前に稼いだ金は使いたいから俺は欲しいな」
「お前、オーク達で死ぬつもりか」
「何があるかわからないし、宵越しのカネは持たない主義だからな」
「まぁそれもいいか、ははは」
「さてジェロ、説明して貰えるかな」
冒険者達は解散した後、メオンとバスチャンに連れられてメオンに割り当てられた部屋に来ているジェロ。
「俺が行った時には既に親子を助けた後で、オーク4匹が奥で倒れていたよな」
「あぁ、はい。回復魔法は父親には何度か行いました。娘には怪我はありませんでしたので魔法は使用していません」
「うん、そこまでは知っている。回復魔法や鑑定魔法が使えることは。あれは火の攻撃魔法だよね。ジェロは戦闘面ではEランクだったのではないのかな。Dランクのオーク4匹を単独討伐ならDランクどころかCランクの可能性もあるよね」
「最近、火の魔法も訓練していまして」
「はぁ。嬉しい誤算だけれども。ガニーに戻ったら取り敢えずDランク昇格の手続きをするよ。給料も今日からに遡及して上げる。明日からはもう少し前線に出て貰おうか」
「ちょっと待ってください。今日は悲鳴が聞こえて取り急ぎ行っちゃいましたけれど、そんな前線なんて恐ろしいこと。ほら、武器もダガーしかないですし防具もありません」
「うーん、じゃあ取り急ぎ見繕うか。もう武器屋も開いていない時間だし、倒したオークから集めた物しかないけど、無いより良いよね」




