モーネ王女の神輿3
「テルガニ子爵、実はな」
ムラン伯爵が、モーネ王女の顔色がすぐれない理由を説明する。
「ヒルデリン王子はこの皇城にとどまることになっているのだ」
「そうですか。確かにせっかく合流できたのに別れるのは忍びないですが、王子のご年齢的には戦場にお連れしない方が良いとも……」
「テルガニ子爵のおっしゃる通りですが」
それでもモーネ王女は暗い表情である。
「ベルカイム王国のアンネ王女もこの皇城にもうすぐ到着されるのだ」
「ヒルデリン王子の婚約者になられた?」
「そう、まだお二人とも幼いため確定ではなかったが、ユニオール皇国、ベルカイム王国の思うところがあるらしく」
「まさか、それもあってヒルデリン王子は留守番に?皇城で幼いお二人が交流を深める狙いがあると?」
「それと、ベルカイム王国、ラーフェン王国それぞれの王族を皇城で人質にする意味もあるのだろうな」
最後はムラン伯爵がモーネ王女に聞こえないようにこっそりとジェロに伝えてくる。
「ということで、コンヴィル王国とラーフェン王国の合同使節団は、二手に分かれることになる。我々コンヴィル王国の外交官は前線に向かっても役に立たないので皇城に残るから、テルガニ子爵はモーネ王女の護衛をしっかり頼むぞ」
「はぁ」
確かにムラン伯爵とカルカイム子爵はニースコンからラーフェン王国の国境に進んで帝国に捕まった苦い記憶があるから、前線に向かうことに気後れがあるのはわかるが、なおさらモーネ王女の支えが重要だと認識する。
ユゲット達に連れられてヒルデリンが入室してくると、早速ジェロのところに駆けてくる。
「ジェロ、またモーネ姉上をお願いね」
と足に抱きついてくる。
しゃがんで目線を合わせた上で、返事をする。
「ヒルデリン王子殿下、かしこまりました」
「お願いね……」




