リブルドーの街3
一方、北進してきたムスターデ帝国のベルカイム侵攻軍。
「ようやくリブルドーの街か。ここまでは順調だったな。そろそろベルカイム王国も迎撃の体勢が整ってくるだろうし、ユニオール皇国の援軍も来るとは思っていたが、この程度であったとは」
「司令、油断をなさっては」
「分かっている。それよりもこれ以上バカ王太子が変なことをしでかさないように首に縄をつけておきたいものだ」
「はぁ、全く本人は何もしていない神輿だけなのに、ここまで順調に来たことで調子に乗って勝手に先制攻撃などしおって。おかげで無駄な損害が出てしまった」
「ラーフェン王国のためにわざとしているのであればまだ人間としてまともだと思いますが、そんなつもりも無いのですよね、きっと」
「上層部は、人望のあるモーネ王女はラーフェン王国の傀儡支配に利用して、あの使えないオンハルト王太子はベルカイム王国の幼い王女とでも結婚させて傀儡にすると言っているが、本当か。前者はまだわかるが、後者は」
「ユニオール皇国はラーフェン王国より実質の属国のようなベルカイム王国の方が大事、そちらを救いに来るでしょうから、囮にするための捨て駒、その間に皇国に攻め入る計画なのかもしれないですよ」
「そうだな、まぁ我々のあずかり知らないところでの計画だ。現場は指示通り動くだけなのだが、あのバカ王太子の扱いだけは……」
「司令、こちらの酒、途中の街の代官屋敷から入手したものです。これでもお飲みになって」
「そういえば、あの魔人、アラトラスと言ったか。あまりに暇でどこかに行ってしまったのか?」
「いえ、ニースコンへの兵糧搬入にかりだされたようですよ」
「そんな雑用をまだ続けているのか?」
「まぁこっそり搬入するには役立ちますし、あいつも狙った相手がそっちに出現するかもしれないという期待があるようで、特に嫌そうでもなかったですよ」




