サリニャック邸
「今から向かうのは、皇国でも皇太子派閥の法衣貴族、ジョスラン・サリニャック子爵の屋敷です」
モーリートが説明をしてくれる。ジェロとマドロールは屋敷に到着する手前で手持ち武器を魔法の袋に収納する以外は、目立たないように頭までフードで隠すローブ姿で移動する。
事前に連絡があったので、屋敷に到着しても裏口からこっそり敷地に入った後は、通常の応接室に案内される。
モーリートの指示もあり、モーリートとジェロだけが着席し、マドロールはジェロの後ろに控える。2人とも頭のフードは外している。
「お待たせしました。主がお会いします」
案内された3人は執務室に入る。屋敷、建物を見ていても貴族の屋敷というよりは、豪商の別宅のような感じであり、謁見室などはないようである。
「事前説明は聞いておる。ベルカイム王国のドゥネーヴ宰相から内密に渡したい物があるとか。直答を許す。ここは内密の別邸であるので、率直なやり取りで良い」
「は、ご配慮ありがとうございます。では、こちらの者が取り出しますので、少しこの場所をお借りします」
モーリートが指示した場所にジェロが魔法の収納からワイバーンの討伐部位である尻尾の先を5つ、武器の取り出しと怪しまれないようにゆっくりと出していく。
「これは!?」
「はい、ここより北方の山脈付近で暴れていたワイバーンの討伐部位になります」
「何だと!流石に大きいな。これで全部か?もう彼の地の問題は解決したというのか?」
「は、この者が申すには他には居なかったと。皇都に来るまで、我々も再度その道を通って来ましたが、見かけることもありませんでした」
「そうか、流石はドゥネーヴ宰相、我々の派閥が欲するものを良くわかっている。なるほど、内密ということだな。このことを知る者は他に居るのか?そちらは冒険者か?」




