王都ルージャンでの宰相
「よし、これで何とかこの王国も平穏を続けることができるだろう」
ベルカイム王国の宰相ジョス・ドゥネーヴは一息をつく。
先ほど、コンヴィル王国とラーフェン王国からの合同使節団、特にラーフェン王国のモーネ王女とヒルデリン王子という王族が、王都ルージャンから出発するパレードを無事に終えたところである。
「この王国はユニオール皇国の庇護の下で平和を継続することが正解なのだ」
ワイバーンの討伐証明を皇国のジャムス皇太子に届けた上で、モーネ王女達が皇都に到着すれば、その仲介を行ったベルカイム王国、そしてその宰相であるドゥネーヴの覚えもめでたくなり、ますますベルカイム王国と自身の立場の安定感が増すというもの。
モーネ王女達の期待通りに皇国まで味方になってラーフェン王国からムスターデ帝国を追い出せるかまでは分からない。しかしそうなった方が、ムスターデ帝国に尻尾を振ろうという脳筋のノヴェール騎士団長などの勢力を抑えることができ、皇国寄りの自身の勢力を優勢にすることができる。
安心できると思ったのも束の間、王都にある別宅に呼ばれる。この別宅は、王城近くの普段の屋敷と違い、人気の少ない場所にあり裏の仕事を任せている者達の隠れ家にもしている。
「一体どうしたというのだ。私自身をこの別宅に呼ぶというのは」
表も裏も任せられる腹心の呼び出しなので詳細までは聞くことなくここまで来たのである。
「は、実は……」
王都の外からは馬車でこっそり積み込んで来たという捕虜3人、そして確かテルガニ子爵の家臣団として見覚えのある男達が紹介される。
「なんだと、騎士団と帝国士官が!」
これからの立ち振る舞いに頭を悩ますことになる宰相ドゥネーヴ。




