偽案内人
「自信過剰なんですかね?同じ道を通るとは」
谷の上方からの声は、この山脈でワイバーン討伐の案内をしてくれた1人目の案内人の方であった。あの時は無口だったのに、本当は口が軽いのかもしれない。
「結局お前は誰なんだ!?」
イドがわざと質問してみると、別の男たちが現れる。
「バカでもあるようだな、こいつら。他国のことになど首を突っ込まなければ長生きできただろうにな」
ベルカイムの王城でも見かけた騎士団の鎧姿が複数、そしてその横にはムスターデ帝国の士官クラスと思われる鎧姿の男が1人であった。
「つまり、ベルカイム王国の騎士団はムスターデ帝国に従うことに決めたので、ユニオール皇国との付き合いをさらに深めようとする宰相たちは邪魔、その宰相の依頼を行う我々はここで始末するつもりということですかな?」
レナルマンは答え合わせを求めるが、
「答えるまでもないだろう?」
と、再び落石攻撃をしてくる。
「ワイバーンを倒す程度の力はあるはずだ、油断するな」
という声が上方でかけられているのが聞こえてくる。
人数がたくさん居るからか、前回より多くの落石が降り注ぐため、逃げ場に困る。≪結界≫≪粉砕≫魔法で対処しつつ、谷から後退していくのと合わせて、ジェロとアルマティが≪飛翔≫で上方に飛び上がり、敵の全体像を把握する。
「30人ほど居るぞ。いったん、もっと後方に下がって!」
ジェロは空を飛べないイドたちに声をかけつつ、範囲攻撃が可能な≪雷撃≫を自身だけでなくヴァルたちにも発動させて応戦する。
「おい、空を飛ぶとは聞いていないぞ!お前は何を確認していたんだ!」
「そんな、落石等の準備に追われて、あいつらの戦いぶりなんて見ていませんよ」
騎士に責められている偽案内人の姿が見える。




