皇国への使者3
「またしばらくのお別れですね。皇都ナンテールでお会いしましょう」
モーネ王女に丁寧に挨拶された後は、ヒル王子に抱きつかれるジェロ。しゃがんでヒル王子の目線に合わせてから
「ヒル王子殿下、ナンテールでお待ちしておりますね」
と告げる。
モーネ王女やムラン伯爵たちは外交使節として見栄えのする馬車で堂々とユニオール皇国に移動するため、主街道でできるだけ宿に泊まりながらの移動になり、時間がかかる。
ジェロたちは少しでも早く皇都に到着する必要があるため、整備がされていなくても最短で到着できる経路を選ぶことになり、結局は先日のランソンヌの街、その東の山脈を通ることになった。
ドゥネーヴ宰相が手配した男、モーリートは事務職というよりは荒事にも対応出来る戦闘職のようであり、彼も戦馬バトルホースに騎乗してジェロたちと同様の移動速度を確保できる。また、出発時の待ち合わせでは長剣を装備していたが、手荷物はなかったので魔法の収納袋も所持しているのだと思われる。
「では私が皇都ナンテールまでご案内しますね。とは言うものの、国境の山脈まではワイバーン討伐でご経験の通りです」
モーリートはそれなりに社交性もあるようで、色々な段取りの話をしてくるが、イドとレナルマンが対応を買って出てくれたおかげでジェロはモーネたち、そして何かと絡んでくるユゲットたちの相手をすることが出来ていた。
ジェロたち主従9人とモーリートの10人は予定通りランソンヌの街に向かい、そこから再びさらに東の山脈に向かう。
前回の帰り道で落石があった谷に近づいたところで、ヴァルが注意喚起してくる。
『ジェロ、囲まれているわよ』
『念のためにリバイモンとハポリエルも呼んでおいてくれるかな』
ジェロが周りにも合図したので、皆も警戒して進む中で、上方から声がかかる。




