ルージャン潜伏
コンヴィル王国としてムラン伯爵とカルカイム子爵を含めた外交官たち、ラーフェン王国としてヒルデリン王子とそのお守りであるユゲットとジャクロエたちが、ベルカイム王国に使節団として出発する。
前回にほぼ壊滅した護衛の騎士団や魔術師団は別の者を割り当てて王都から連れて来ている。
一方、そのベルカイム王国の王都ルージャンから手紙を出した後のジェロ達。他国の貴族家族とその護衛という体のまま高級宿に泊まり続けている。
仲間が手分けして情報収集している中、ジェロは魔道具店などに足を運び、魔剣を探すかたわら魔法カードも購入している。カリグラフィーの流行りがコンヴィル王国とは違うのか、単に制作者の流派が違うことの癖の違いかはわからないが、たとえ既に習得済みで何枚も所有している魔法のカードでもコレクション欲を刺激されて買い集めている。帝国占領下のラーフェン王国では我慢していたこともあり、ついつい購入している。
「ジェロ様、目立たないようにしてくださいよ」
「ごめん……」
その金払いの良い外国貴族一行にコレクターが居るという体で、商人からは「とっておき」を見せて貰うことになる。
戦争間近のようなきな臭い感じが出ているルージャンでは、食品や武具は高騰、贅沢品は買い控えなので、良い客と見られたようである。
そのおかげで、ジェロが未修得であった上級土魔法≪泥沼≫の古代魔術のカードが持ち込まれることになったので、家臣達もあまり強く否定することもできずに苦笑いである。
『本当に魔法カード、特に古代魔術のカードが好きね』
『いや、だって、この柄が。これに比べると現代魔術は……』
『はぁ……』
コレクター魂で語り出し、悪魔にまで呆れられるジェロであった。
ラーフェン王国内で命の危険がありながらの潜伏に比べて、ムスターデ帝国に占拠されたわけでもないベルカイム王国での、まだ平穏といえる日常を得られている一行であった。




