モージャンのアナトマ
「テルガニ子爵からの連絡があったというのは本当か?」
ジェロから手紙を受け取ったアナトマはすぐに領主館に向かったところ、モージャン子爵本人が現れた。
「は、こちらになります」
「ふむ。テルガニ子爵の旨は書かれていないが」
「いえ、父上。テルガニ子爵は古代魔術の複雑な紋様の魔法カードに強いご興味、執着心がおありですし、魔法カードと合わせて刀もテルガニ子爵である証拠かと」
「は、ユゲット様のご推察通りと存じます。今はラーフェン王国から脱出して、元々の使節団の目的地であったベルカイム王国の王都ルージャンにいらっしゃるのかと」
「モーネ王女の救出はできたのであろうか」
「は、おそらくポーション確保がその旨で、応援が欲しいのはベルカイム王国との外交使節団の派遣の要求と思われます」
「よし分かった。ムラン伯爵達が使節団の再編に王都ミューコンに向かわれてそれなりになる。こちらに滞在中のヒルデリン王子の馬車を拵えて、ムラン伯爵達と一緒にベルカイム王国に向かって頂こう。アナトマ、よく知らせてくれた。王子の馬車の手配は頼むぞ」
「かしこまりました。ありがとうございます」
「お父様、お帰りなさいませ。どうでした?」
「あぁリリー、ただいま。やはりテルガニ様だと思われるということで、外交官のムラン伯爵達と共にヒルデリン王子がベルカイム王国に向かわれることになった」
「やっぱり。それにしても流石ですね、お父様。もう子爵であるテルガニ様にあのような大事なお手紙を頂くというのは頼りにして頂いているのですよね」
「あぁ、親子共々の命を救って頂いただけでなく、商家として紋章を任せて頂いたことも含めて、これからもご恩を忘れてはならないぞ。リリー、後世に引き継いで行くのだぞ」
「……子供を残す相手が必要ですわよ、お父様」
「ジェロマン様にはもう頼めないからな……」




